風と、光と・・・

すべての人を照らすまことの光があって、世にきた。(ヨハネによる福音書1:9)

2019-01-01から1年間の記事一覧

どこに愛があるというのか!― ドストエフスキー『罪と罰』2

マルメラードフのどこが悲しいと思うのか? 例えば、こういうところだ。 私があれをもらったときは、後家さんで、小さいのばかり、三人も抱えておりましたっけ。まえの主人は歩兵将校で、好きあって親の家から駈落までしたもんです。あれのほうが首ったけで…

どこに愛があるというのか!— ドストエフスキー『罪と罰』1

台風が最接近した月曜の夕方、家に着いた。 家に帰ったら持って来ようと思っていた『罪と罰』を少し読んで寝ようとしたら、雨風が凄まじくて眠れないので、また灯りを点けて続きを読む。台風が通り過ぎて静かになったのに、今度は悲しすぎて眠れなくなった。…

等価交換の信仰ではなく、神の懐へと立ち帰って神の喜びを喜ぶ信仰へ

20日の日曜日は、前の教会で昨年お呼びした先生の教会との説教者交代、講壇交換だった。 今回は、「クリスチャンは死んでも大丈夫なんです」という言葉は出てこなかったが、バルトは元よりハイデッガーにまで言及され、名前こそ出なかったものの、マルクス資…

キリスト者かクリスチャンか? 否、キリスト教徒だ!

キリスト者とは「キリストに所属する者」という意味らしい。英語ではクリスチャンだそうだ。 私はどちらの言い方も好きではない。クリスチャンというのは舌がもつれて言い辛いし、何か甘えたイメージがあるから好きになれないのだ。全く表層的な印象に過ぎな…

『聴く 10月号』

今回の『聴く』は、長老の創世記18章1節〜14節の「聖書を読む」を間に挟んで、1ページと4ページ。

島弘之=著『小林秀雄 悪を許す神を赦せるか』(新潮社)

再度借りて、返す日が近づいているので、この本についてメモしておこう。 島弘之=著『小林秀雄 悪を許す神を赦せるか』(新潮社) この本は、「ロマン主義への愛憎の顚末」、「悪を許す神を赦せるか―小林秀雄とドストエフスキー」、「心情の明滅の果てに」…

罪と悪(島弘之=著『小林秀雄 悪を許す神を赦せるか』から2)(ボンヘッファー論)

「悪を許す神を赦せるか」というタイトルを見て、「悪」とは何か?「罪」ではないのか?と考え、娘に「罪と悪の違いってどういうものだと思う?」と聞いてみた。すると娘は、「イメージでしかないけど」と前置きをして、「例えて言えば、ヒトラーは「悪」で…

「生け花の美しさ」というようなものがあるとしたら・・

シュウメイギクは 茎が長くて水上げが悪いようなので、 短く切って、階段の踊り場に置くと、 蕾だったのが、 開いた。 少し短く切った状態で活けたもの。 生け花の美しさというようなものがあるとしたら、それはどういうものだろう? 器との取り合わせや、敷…

「永遠の命」とか、「復活」とか、

「カラマーゾフさん!」コーリャが叫んだ。「僕たちみんな死者の世界から立ちあがり、よみがえって、またお互いにみんなと、イリューシェチカとも会えるって、宗教は言ってますけど、あれは本当ですか?」「必ずよみがえりますとも。必ず再会して、それまで…

不断の運動態となる

大地にひれ伏した彼はかよわい青年であったが、立ちあがったときには、一生変わらぬ堅固な闘士になっていた。(『カラマーゾフの兄弟 中』(新潮文庫)より) 昔、日常への回帰、凡庸への回帰というようなテーマで武者小路実篤と椎名麟三を比較して書いたも…

『カラマーゾフの兄弟』の最後と『銀河鉄道の夜』

きっとみんなのほんとうのさいわいをさがしに行く。どこまでもどこまでも僕たち一緒に進んで行こう。(宮沢賢治=作『銀河鉄道の夜』より) 宮沢賢治もドストエフスキーを読んではいただろうが・・、『カラマーゾフの兄弟』の最後を読んでいると、『銀河鉄道…

自分のように愛する

「隣人を愛しなさい」(マタイ22:39)というキリストの教えには、「自分のように」という規定が設けられている。それゆえドストエフスキーも「キリストの教えどおり、人間を自分自身のように愛することは不可能である」と書いているのだが、この日記の続きに…

愛するとはどういうことか

愛する行為は様々あるかも知れない。また、愛するとは人を幸せにすることだということも出来るかも知れない。 しかしキリスト教においては、究極的に愛するとは死から救い出すことであると言えるだろう。 罪とは愛せないということに他ならない。 つまり罪の…

無力を知ることが・・(『カラマーゾフの兄弟』から考える)

無力を思い知らされることが罪の自覚の契機となる。 では、無力とは何においての無力なのか? もちろん、愛することにおける無力である。それ以外ではあり得ない。 ドストエフスキーは「キリストの教えどおり、人間を自分自身のように愛することは不可能であ…

ペーター・ヘルトリング=作『ヒルベルという子がいた』(偕成社文庫)

以下、昔書いた子どもの本の紹介から、 ペーター・ヘルトリングの作品に「ヒルベルという子がいた」という児童書があります。ヒルベルというのはその子の本当の名前ではありません。ドイツ語で、「ヒルン」という言葉は「脳」を,「ヴィルベル」という言葉は…

人殺しより大きな罪(アリョーシャの罪)

では、アリョーシャはどういう罪を抱えていただろうか? しかしそれを考える前に、アリョーシャの無力がどこで最大限に示されているかを考えよう。 アリョーシャの無力は、もちろんゾシマ長老を生き返らせることが出来ないというところに最大限に示されてい…

ロアルド・ダール=作『ぼくのつくった魔法のくすり』(評論社)

昔書いた子どもの本の紹介から ロアルド・ダール=作『ぼくのつくった魔法のくすり』(評論社) ダールの作品には、普通ではちよっと考えられない嫌らしい大人が出てくる。このお話でも、主人公のおばあさんが意地悪で狡猾な人物として登場する。 いじわるな…

罪と悪(島弘之=著『小林秀雄 悪を許す神を赦せるか』から1)(『カラマーゾフ』論)

「悪」の実在を黙認しているかのような「神」のあり方は、小林秀雄には許容し難いものだ。勿論、ミルトンの『失楽園』のように、神正論 ー 「悪」とは「神」の“正しさ”の言わば引き立て役だとする論法 ー を自明視している作品を相手にしているのならば、話…

アリョーシャの無力

以下、ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』原卓也=訳(新潮文庫)より抜粋引用。 その後、一生の間に何度か彼は、この朝つい数時間前に、ぜひとも兄ドミートリイを探しだそう、たとえその夜は修道院に戻れぬ羽目になろうと、見つけぬうちは帰るまいと決…

キリストの無力と人間の無力(島弘之=著『小林秀雄 悪を許す神を赦せるか』から考える)

夫が図書館から借りてきた本を横取りしてちらちらと読んでいた。 島弘之=著『小林秀雄 悪を許す神を赦せるか』。 その中で、小林秀雄が「アリョオシャの無力には、ムイシュキンの無力とは全く異なったものがある」と書いていると知った。私は『白痴』を読ん…

この頃、ニンニクの入った物を食べても具合悪くならない?

この頃、ニンニクの入った物を食べても具合悪くならないなぁ?と思って、自分のブログで検索してみたら、それについて、すでにまとめてた。 meromeropy77.hatenablog.com 娘が生まれてすぐにアトピー性皮膚炎だと分かって、母乳育児中に激しい除去食をしてほ…

赤いベゴニアがこんなに可愛らしいとは思わなかった。

庭のブロックで囲われた小さい花壇の下の方で赤いベゴニアが咲いていたので、 リビングに飾った。 赤いベゴニアが こんなに可愛らしいとは思わなかった。 元々熱帯のものらしく葉も肉厚なので、温室状態の階段の踊り場の熱気にも耐えて、もう2週間近く家の中…

郵便局への路(みち)

郵便局への路 露草のむらさきむるる路地抜けてむらさき群るる路地を戻れり

誤診されやすい自閉症と統合失調症(訂正あり=赤字部分)

meromeropy77.hatenablog.com 自閉症が治った 三歳になるセツは自閉症ぎみで、親からの呼びかけにほとんど反応せず、自分の世界に閉じこもっていた。カウンセラーが週に二度訪問したが、自閉症の改善は見られなかった。このため、セツの父は、健康回復センタ…

高ヒスタミンの患者にカルシウムを投与すると症状が改善したとはどういうことか?

高ヒスタミンの患者にビタミンCとナイアシンを投与しても、効果はなかった。しかしカルシウムを投与すると、ヒスタミンレベルが下がり、症状は改善した。(生田哲=著『心の病は食事で治す』) これはどういうことかとずっと考えてきた。 統合失調症にはいく…

檜扇(ヒオウギ)となでしこ(檜扇は水曜日には開かなかった)

いつも階段の踊り場に飾って下さるからと、花を持って来て下さった。 私はそれほどササッと活けることが出来ないのだけど、取りあえず入れて、礼拝の前に階段の踊り場に飾って、その後、家の中に持ち帰った。まだ暑いので。 ヒオウギとなでしこ。 なでしこは…

夏の匂ひを

ドアノブに夏の匂ひをさげゆきし 二階に居てインターホンに気づかないでいた。 玄関のドアに「家庭菜園の○○です。おひとつどうぞ!!」と書き置きの入った袋が提げてあった。袋の中は夏の匂いに満ちていた。 スーパーで野菜を買ってくるとだいたいすぐに冷蔵…

脱脂粉乳と牛肉の違い(ニキビとアレルギーとの観点から)

くしゃみを連発していた娘が「このところ脱脂粉乳の入ったものを摂りすぎたからだ」と言っている。そして、「亜鉛の多い牛肉を食べるとニキビは治まるけど、亜鉛の多い脱脂粉乳の入った物を食べてもニキビは治まらない気がする」と言う。 図書館から借りてき…

『聴く』2019年9月号

9月号の1,2ページには葬儀の辞を掲載した。 今回、Mさんの葬儀を教会で行うように、神が導かれたことを思います。 現在、教会の電話は故障しており、牧師館の電話は鳴りません。○○さんは何度かお電話をくださいましたが、出ることができませんでした。○○さ…

アルコール代謝とナイアシンについて、今回は(アミノ酸の一種の)アラニンとの関連で・・

ここの記事は、加筆して以下にまとめ直しました。 meromeropy77.hatenablog.com