風と、光と・・・

すべての人を照らすまことの光があって、世にきた。(ヨハネによる福音書1:9)

愛は、踏み留まる ー ドストエフスキー『罪と罰』37

「ドストエフスキー『罪と罰』24」で、私は、「愛は、踏み越える」、と書いた。 しかしここでは、愛は「踏み留まる」のだ、と書かねばならない。 しかし、それにしても、こうした性格をもち、まがりなりにも教育を受けているソーニャが、けっしてこのままの…

「雅歌」を読む(『聴く』11月号)

〈 聖書を読む 〉『雅歌』 myrtus77.hatenablog.com myrtus77.hatenablog.com

ソーニャと娼婦ラハブ ー ドストエフスキー『罪と罰』36

二人がまだ寝てしまわないうちに、ラハブは屋上に上って来て、言った。「主がこの土地をあなたたちに与えられたこと、またそのことで、わたしたちが恐怖に襲われ、この辺りの住民は皆、おじけづいていることを、わたしは知っています。あなたたちがエジプト…

手紙による遠隔言語療法(夫への手紙)

夫にこんな手紙を書いて看護師さんに読み聞かせて頂いている。 今日は、言葉を話すための練習について手紙に書きます。 1回目の今日は、「パ」です。 「パ」というためには、先ず最初、口を閉じます。 次に、閉じた口をパっと開けると、「パ」になります。 …

《 愛して生きる 》、そんな憧れを・・。

以下は、昔書いた子どもの本の紹介文から。 映画にもなりました、梨木香歩=作『西の魔女が死んだ』。 死の恐怖に勝たしめるものは《愛》なのだと思います。 不登校になった“まい”は祖母のもとで暮らすことになる。 英国人の祖母は田舎で自然と共に暮らして…

本物か、偽物か?

オリンピックに関連して色々とゴタゴタが起きているようだ。 過去に障害者を虐めていたということで開会式の楽曲担当から外れたり、ホロコーストをコントのネタにしていたということでディレクターを解任されたり、と・・。 実際にイジメをしていたという人…

コレラの時代とコロナの時代

時間が遅々として進まないように思える。永遠にこの状態が続くようにさえ思える。それでいて様々な煩いが四方から押し寄せてくる。 主よ、いつまでなのですか。(詩編6:4 聖書協会共同訳) 主よ、悪しき者はいつまで悪しき者はいつまで勝ち誇るのでしょうか…

「苦しむ人を救いによって輝かせる」(詩編149:4 聖書協会共同訳)

最後の祈り会でしたこの説教を読み返していた。 しばらく前に、山上の説教の中に「苦しむ人」について語られていただろうか?と思い、新しい訳の聖書も見てみたが、なかった。しかし、新しい訳の詩編では、「苦しむ人を」と訳されていると言っている。 主は…

「キリストの苦しみのなお足りないところを」ー ドストエフスキー『罪と罰』

今わたしは、あなたがたのための苦難を喜んで受けており、キリストのからだなる教会のために、キリストの苦しみのなお足りないところを、わたしの肉体をもって補っている。(コロサイ人への手紙1:24 口語訳) 「キリストの苦しみのなお足りないところを」と…

自分を守ろう守ろうとばかりする者の口から ー ドストエフスキー『罪と罰』

ある教会に電話をすると、「この電話は迷惑電話防止のために録音をしています」と設定された声が先ず聞こえてきた。 教会で、迷惑電話防止のために録音をするというのは、どういうことだろうか? 病む人の心の悲鳴響かせて非通知電話鳴る午前4時 睡眠は確保…

この庭は・・(「休業中のアロマセラピスト良香さんの日常」5回目)

youtu.be 夫が倒れたので、YouTubeの収益化を目論んでいます。 ほど遠い状況ですが、ユーチューバーとして生活を立てていきたいと考えています(笑)。 チャンネル登録をよろしくお願い致します。 www.youtube.com 江藤淳「庭と言葉」については以下をご覧く…

江藤淳「庭と言葉」より

つまり、建築が翻訳だとすれば、造園は詩か創作なのである。(略)これに対して庭師は、まず発語して自分の前にある“渾沌”、あるいは“自然”を分節化し、言葉に変えていかなければならない。彼の提示する意味は、建築家の提示する意味ほど自明では到底あり得…

ソーニャを・・ー ドストエフスキー『罪と罰』

私は、『罪と罰』を読む前から、ドストエフスキーはソーニャをキリストとして描いていると考えていた。そして『罪と罰』について書き始めてからもそのことを証明しようとするようにして書いてきた。けれど書きながら、予想とは違ったところへと着地するだろ…

頂いたお年賀状を読んでいて・・ー ドストエフスキー『罪と罰』

頂いたお年賀状を読んでいて、ドストエフスキーの『罪と罰』について思い浮かんだことがあった。 「ドストエフスキー『罪と罰』32 」で、共産主義的な新思想の持ち主レベジャートニコフについて書いたのだが、この登場人物も、スヴィドリガイロフが自死の前…

『聴く』(2020年12月号)ー ドストエフスキー『罪と罰』

江川卓=訳、ドストエフスキー=作『罪と罰』(岩波文庫)について 自分の不幸に囚われている者は、周りの人間は皆自分より幸せに生きていると思い込んでいる。 自分の苦しみにばかり捕らわれている者は、肉体を持ってこの世に来られた神の子キリストの苦し…

岩尾淳子=文(砂子屋書房『一首鑑賞 日々のクオリア』)より抜粋リンク掲載

病苦より逃れんとしてキリストに触れたりし指どこまで伸びる 松村由利子 『光のアラベスク』 砂子屋書房・2019年 (略) 理由のない苦しみには耐えられない。罪と許しとの相関のなかに苦しみを理由づけることで救済が与えられる。作者は、そういう人類の…

山崎行太郎=著『小林秀雄とベルグソン』(電子書籍)、読み終えて・・

山崎行太郎=著『小林秀雄とベルクソン』は次の言葉から始まる。 矛盾にぶつからない思考が合理的なのではない。矛盾にぶつかることを恐れない思考が合理的なのである。つまり矛盾に直面しない思考とは、中途半端な思考であり、いわば矛盾することを恐れて、…

赤星進=著『心の病気と福音(上)』と、「エア聖餐」

赤星進=著『心の病気と福音(上)』に、「自我の業としての宗教心的信仰」と「私たちの中における神の業としての福音的信仰」ということが書かれていて、そこに、「分裂病の場合には、(略)幻想的な信仰になっていく」(p169)と記されている。 この本は、…

「そこには草がたくさん生えていた」(ヨハネによる福音書6:10)

聖書:ヨハネによる福音書 6:1〜14(新共同訳) イエスが病人たちになさったしるしを見た大勢の群衆が、後を追ってきました。 福音書は「山に登り」と表現していますが、おそらくは湖近くの小高い場所で、大勢の人たちが周囲に集まることのできる場所に行か…

『聴く』2020年9月号

2ページ、3ページには教会員による「『放蕩息子』の独り言」を掲載。が、ここでは割愛する。

ここで急に、「死に至るまで・・」(ヨハネの黙示録)とドストエフスキーの日記と『はるかな国の兄弟』

最初の者にして、最後の者である方、一度死んだが、また生きた方が、次のように言われる。「わたしは、あなたの苦難や貧しさを知っている。(ヨハネの黙示録2:8,9 新共同訳) 食前に読まれたこのローズンゲンの御言葉を聞いて、聖書を開いて続きを確認した。…

『はるかな国の兄弟』のヨナタンとサウルの息子ヨナタン、そして米津玄師『迷える羊』から

『はるかな国の兄弟』の紹介で、「ここに登場する兄のヨナタン・レヨンイェッタをキリストをイメージして描いていると思う」と書いた。 myrtus77.hatenablog.com よけい 予型 旧約の出来事の中にイエスの出来事を予め示す型のことを言う。たとえば「アダムは…

「エジプトの初子を討った方に感謝せよ」(詩編136:10)

こちらに来てから、教会員の要望もあって、祈り会ではローマの信徒への手紙の初めからをやっていた。それが終わって、詩編の続きへと戻った。 詩編135編、136編には、出エジプトを振り返って「エジプトの初子を討った方に感謝せよ」(詩編136:10 新共同訳)…

『聴く』2020年8月号

〈 本の紹介 〉内田樹=著『レヴィナスと愛の現象学』 引用部分に囲みを入れるのを忘れて印刷してしまった。 印刷してから何かしら不具合が見つかって、完璧に出来たためしがない。 下は、今日の玄関の花。 昨日、開きかけていた2つ目のが、 今朝はしっかり…

ソーニャ(ソフィヤ・セミョーノヴナ・マルメラードワ) − ドストエフスキー『罪と罰』35

智恵や叡智を表す「ソフィア(Sofia)」は、ロシア語では「София(Sofiya)」と表記するようである。そのためか、岩波文庫の江川訳『罪と罰』では、ソーニャを「ソフィヤ・セミョーノヴナ・マルメラードワ」としている。 お察しのとおり、ソーニャは、教育は…

スヴィドリガイロフがソーニャに説教するというのは − ドストエフスキー『罪と罰』34

あなたにあげるのはあのひとにあげるのと同じことなんです。それにあなたは、リッペヴェフゼリ夫人に借金を払うと約束された、私は聞きましたよ。どうして、ソフィヤ・セミョーノヴナ、あなたはそんなふうに考えもなく、そんな約束だの義務だのを背負いこま…

建築家隈研吾へのインタビュー(『Harvard Business Review』8月号より)

いまこそ、地球のOSを書き換えよ https://t.co/LJVW2mJVd2 @dhbr_japanより 空調の問題に限らず、建物の内側の環境だけをよくすればいいという思考が、あらゆるところに広がっています。(抜粋) — メロメロピー77 (@syodainekosuke) 2020年7月11日 merome…

2020年7月号の『聴く』

「ドストエフスキーとキリスト教」 今日の花。全部、教会の庭の花。

花が咲いて枯れるというのは・・

花が咲いて 枯れるというのは、 感動が胸に拡がるということだ。 あなたが最も幸せなときには、この書は、何の価もないものかもしれません。けれども、あなたが不幸や病気や、心の傷つけられているときにこの書はあなたのものであります。私は平凡なひとりの…

ちょっとここで、カラマーゾフのイワンのことを・・(加筆あり)

ドストエフスキー作品についてばかり書いているとアクセス数が低迷するようなのだが(笑)、構わず続けようと思う。 「ドストエフスキー『罪と罰』33」で『カラマーゾフの兄弟』のスメルジャコフについて書いていて、イワンの台詞が気になった。 「おい、お…