風と、光と・・・

すべての人を照らすまことの光があって、世にきた。(ヨハネによる福音書1:9)

愛は、踏み留まる ー ドストエフスキー『罪と罰』37

「ドストエフスキー『罪と罰』24で、私は、「愛は、踏み越える」、と書いた。

しかしここでは、愛は「踏み留まる」のだ、と書かねばならない。

 

 しかし、それにしても、こうした性格をもち、まがりなりにも教育を受けているソーニャが、けっしてこのままの状態にとどまっていられないだろうことも、彼には明らかだった。やはり彼は、ひとつの疑問をふっきれない ーー なぜ彼女はこんなにも長い間、こうした境遇にとどまりながら、水に飛びこむだけの勇気はなかったとしても、どうして発狂しないでいられたのか?(岩波文庫罪と罰 中』p277)

 

ここは、ラスコーリニコフがソーニャについて考察する場面である。

myrtus77.hatenablog.comソーニャが継母やその連れ子のために娼婦となった今も、精神に異常を来すこともなく、生きている状況を分析しようとしている場面だ。

 

愛は忍耐強い。

すべてを忍び、すべてを信じ、すべてを望み、すべてに耐える。(コリントの信徒への手紙一13:4,7 聖書協会共同訳)

 

私はここで、本当の自由とは、愛を選び取ることによってのみ得られるのだ、と言いたいと思う。それがどんなに苦しい境遇に留まることになるとしても。

キリストは、釘付けにされた十字架上で、限りなく自由であった。

 

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