風と、光と・・・

すべての人を照らすまことの光があって、世にきた。(ヨハネによる福音書1:9)

このところ夫の記憶がうすれてきている気がする。(主治医への手紙追記)

昨日、面会に行った時、最初の頃、私のことも分からなかったようだった。

2月にコロナに罹って以降、嚥下力も落ちているということで、ゼリー等を食べる訓練も中止になった。

痰の吸引の練習に二日続けて行った二日目に熱を出しているということだった。時折高い熱を出すが、冷やすくらいで何もしないで一日で下がる、と。

カルシウム拮抗薬はARB系の降圧剤との合剤で、この3年、月・水・金の処方になっている。熱を出していたのは、薬を飲んでいない木曜日だった。

 

 

meromeropy77.hatenablog.com

 心臓や血管の筋肉細胞や神経細胞の興奮には、ナトリウム(塩分)とカリウム、カルシウムが関係しています。

 平滑筋の収縮には、カルシウムが大きく関わっています。平滑筋が収縮するためには、細胞の外から内側にカルシウムイオンが流入する必要がありますが、細胞の表面にあるカルシウムが出入りする穴を、カルシウムチャンネル(カルシウムの通り道)といいます。

 カルシウム拮抗剤はこのカルシウムチャンネルに蓋をして、カルシウムが細胞内に流入するのを妨害し、平滑筋が収縮するのを妨げ、弛緩させます。こうして血管を拡張させるのです。降圧剤として有用だという気がしますね。

 ところが、カルシウム拮抗剤には大きな問題があります。カルシウムチャンネルは血管の平滑筋だけでなく、体中のすべての細胞にあります。平滑筋だけでなく、すべての細胞にとって、その働きを全うするためにカルシウムチャンネルが必要なのです。カルシウム拮抗剤は、他の細胞の必要なカルシウムチャンネルにまで蓋をすることになり、細胞が本来の機能を全うできなくする危険性があるのです。(浜六郎=著『高血圧は薬で下げるな!』)

 

 なかでももっとも問題なのが、免疫細胞の不活性化です。免疫細胞は、体に侵入したウイルスなどをいち早く見つけて退治してくれます。ウイルスだけでなく、体内に常に出現しているがん細胞や、がんに発展する異常細胞を見つけ出して退治する働きも持っています。

(略)

 カルシウム拮抗剤には、むくみが起きやすい、少し脈が速くなる、便秘しやすいなどの副作用があるのですが、あまりそのことが不都合なこととして印象にのぼっていないようです。むくみや便秘は「年のせい」で片づけられていることが多いのでしょう。そのため、さしあたり重大な副作用はないと思われているのです。

 しかし、長期に使うと…。(略)しかし、緩やかに効くようにしたカルシウム拮抗薬は現在もよく使われています。いくら緩やかに効くといっても基本的な作用は同じですから、安全というわけではありません。(浜六郎=著『高血圧は薬で下げるな!』)

 

この本は割と早くに買って持っていたのだが、あまりきちんと読んでいなかった。

読み返すと副作用に「便秘しやすい」と書いてある。

断続的ではあるが、夫は心不全になって以来、このカルシウム拮抗薬を8年近く飲んできた。

脳内出血で倒れた後、今の病院に転院して直ぐに腸閉塞を起こした時、私はカルシウム拮抗薬が悪さをしていると考え主治医に手紙を書いて減量して頂いたのだが、倒れる前から、夫は便秘で苦しんでいた。

私はその頃はカルシウム欠乏と便秘との関連に気づいていなかったのだが、カルシウム不足では弛緩性の便秘になるので、通常の下剤(マグネシウム製剤)を飲むと根本的な便秘の解消にはならず状態を悪化させるものと思われる。

 

さて、カルシウム拮抗薬を飲んだ翌日の飲まなかった日に高い熱を出すというのは、薬で蓋をされていたカルシウムチャンネルが開き、細胞内にカルシウムが一気に流入するために、抑えられていた免疫反応が活性化、あるいは激化して熱が出るのではないだろうか?

そもそもコロナに感染したのも、カルシウム拮抗薬を飲み続けているために免疫が働かなくなっていたためではないだろうか?と思える。

そしてコロナに罹って、小胞体内のなけなしのカルシウムが免疫反応に使われるために他で働けないということではないだろうか?

 

そして問題は、記憶がうすれてきているということなのだ。

倒れる前から夫は記憶が覚束なくなってきていた。「教会員から話を聞いても覚えていられない気がする」、「牧会が出来なくなる気がする」と言っていた。

 

カルシウムは記憶形成や感覚伝達など脳のあらゆる神経系の情報伝達に関与する。

ニューロンの興奮によって神経終末から放出される神経伝達物質がその受容体と結合すると、細胞質内のカルシウムイオン濃度が上昇する。この細胞内カルシウムイオン濃度の上昇は神経系の情報伝達のトリガーとして必要条件である。そのメカニズムは細胞内カルシウムイオンプールからの放出以外に、細胞外からのカルシウムイオンの流入によるものであり、例を挙げれば、ノルアドレナリン作動性ニューロンやコリン作動性ニューロンにおけるそれぞれノルアドレナリンアセチルコリンとα1-受容体、ムスカリン受容体との結合によるカルシウムチャンネルからの細胞外カルシウムの流入、記憶学習の基礎過程として海馬シナプス終末におけるN-メチル-D-アスパラギン酸受容体(NMDA受容体)やnon-NMDA受容体のイオン型グルタミン酸受容体と代謝グルタミン酸受容体とに大別されるグルタミン酸作動性受容体ファミリー、ATP作動性受容体、電位依存性カルシウムチャンネルなどからの細胞外カルシウムの流入(図1)、嗅覚情報伝達系におけるcAMP依存性カルシウムチャンネルやIP3作動性カルシウムチャンネルを介する細胞外カルシウムの流入などがある。この細胞内カルシウムイオン濃度の上昇がプロテインキナーゼC(PKC)、Ca2+/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼⅡ(CaMキナーゼⅡ)、チロシンリン酸化酵素(Fyn)などのタンパク質リン酸化酵素の活性化を高め、ある種のタンパク質のリン酸化を促進し、情報伝達に都合の良い立体配座を構築する。このように、情報伝達を媒介するカルシウムの補給は脳の活性化にとって極めて重要である。(略)

 

亜鉛は記憶形成や感覚伝達など脳神経系の情報伝達に関与する神経調節因子(ニューロモヂュレーター)である。とくに記憶学習系では海馬シナプス終末における受容体やカルシウムチャンネルの調節因子である(図1)。すなわち、カルシウムイオン増大に関与するグルタミン酸アスパラギン酸などの興奮性アミノ酸受容体(NMDA 受容体やnon-NMDA 受容体)、ATP作動性受容体、カリウムチャンネルを含む種々の電位作動性イオンチャンネルなどの活性化を調節する。そして、記憶・学習の基礎となる長期増強/長期抑制(LTP/LTD)の誘導、発現、持続には海馬亜鉛ホメオスタシスが重要である。(略)

 

亜鉛が欠乏すると、脳では前述のような脳神経情報伝達系の調節が不可能となり、学習記憶障害や嗅覚障害、味覚障害などの感覚障害を誘発する。亜鉛欠乏に伴って脳内微量金属は著しく変動する。とくに、海馬においてはアルミニウム、嗅覚系(嗅球、嗅上皮など)においてはカルシウムの著しい蓄積が観察される。従って、亜鉛欠乏による種々の脳障害の発症には有意に変動する他の微量元素による可能性も考慮しなければならない。また、亜鉛欠乏以外に、ある種の薬物暴露やアルツハイマー病においてみられる記憶学習障害には亜鉛が重要な関わりをもっている。亜鉛キレート剤、トリアルキル錫、エンケファリンなどの外来性薬物により海馬亜鉛が消失する。また、内因的には周産期の甲状腺機能低下が海馬苔状線維亜鉛の低下を引き起こす。

https://www.arakawa-yasuaki.com/course/brain-signaltransduction.html

 

「内因的には周産期の甲状腺機能低下が海馬苔状線維亜鉛の低下を引き起こす」と書かれている。夫は、どちらかというと生まれつきは甲状腺機能は亢進気味だったのではないかと思う。記憶力も良い方だった。けれど若い頃に、甲状腺機能亢進症で薬を飲み続けて亜鉛を排出し続けたためだと考えられるが、低下症に変わっていた。

今はレボチロキシンが処方されている。これは甲状腺ホルモンだがT4なので、この薬を処方されれば、T3に変換するために亜鉛が使われ、記憶で働く亜鉛は欠乏するだろう。

 

記憶に関わる栄養素である亜鉛とカルシウムが、甲状腺剤と降圧剤によって働けなくなっている可能性がある。

 

 

以下、追記。

今日は午後、主治医に手紙を書いて持って行った。

○○先生

退院前ですが薬のことでお願いいたします。

コロナにかかってから、えん下する力が弱くなっているとリハビリの○○先生からうかがっていましたが、このところ記憶もうすれてきている気がしています。

昨日は面会に行きましたが、私のことも最初わからないようでした。

カルシウムは免疫や記憶にもかかわっていると聞きます。コロナにかかって免疫の方にカルシウムが使われて記憶に使われないのではないかと考えております。

月・水・金にして頂いているアムバロを週に2回にしてみて頂けないでしょうか。

それと少しやせてきているのも気になっております。レボチロキシンも少し減らして頂けないでしょうか。レボチロキシンをT3に変換するために亜鉛が使われて亜鉛も記憶の方で働けない気がします。

どうかよろしくお願いいたします。

「血液検査をして判断させて頂きます」と言って頂いた。

 

今日の夫の様子は落ち着いているようだった。私のことも分かっているようだった。