風と、光と・・・

すべての人を照らすまことの光があって、世にきた。(ヨハネによる福音書1:9)

2020-01-01から1年間の記事一覧

ソーニャ(ソフィヤ・セミョーノヴナ・マルメラードワ) − ドストエフスキー『罪と罰』35

智恵や叡智を表す「ソフィア(Sofia)」は、ロシア語では「София(Sofiya)」と表記するようである。そのためか、岩波文庫の江川訳『罪と罰』では、ソーニャを「ソフィヤ・セミョーノヴナ・マルメラードワ」としている。 お察しのとおり、ソーニャは、教育は…

スヴィドリガイロフがソーニャに説教するというのは − ドストエフスキー『罪と罰』34

あなたにあげるのはあのひとにあげるのと同じことなんです。それにあなたは、リッペヴェフゼリ夫人に借金を払うと約束された、私は聞きましたよ。どうして、ソフィヤ・セミョーノヴナ、あなたはそんなふうに考えもなく、そんな約束だの義務だのを背負いこま…

米津玄師『感電』

米津玄師に感電してしまって、新曲『感電』を載せておくことにした。 以下、歌詞の抜粋。 逃げ出したい夜の往来 行方は未だ不明 回り回って虚しくって 困っちゃったワンワンワン (中略) 転がした車窓と情景 動機は未だ不明 邪魔臭くて苛ついて 迷い込んだ…

建築家隈研吾へのインタビュー(『Harvard Business Review』8月号より)

いまこそ、地球のOSを書き換えよ https://t.co/LJVW2mJVd2 @dhbr_japanより 空調の問題に限らず、建物の内側の環境だけをよくすればいいという思考が、あらゆるところに広がっています。(抜粋) — メロメロピー77 (@syodainekosuke) 2020年7月11日 merome…

神は、捨てることをさえ用いて・・(礼拝説教より)

聖書:ローマの信徒への手紙 11:11~15(新共同訳) パウロは同胞イスラエルの救いが心にかかります。9〜11章でパウロはイスラエルについて語ります。10:1では「わたしは彼らが救われることを心から願い、彼らのために神に祈っています」と書いています。 …

米津玄師『でしょましょ』

youtu.be 「獣道 ボロ車でゴーゴーゴー ねえどうしよ? ここどこでしょ?」って、最高! 力の抜けた曲調がまたいいんだ、これが。みんなに聞いて貰いたいけど、YouTubeには見当たらない。『馬と鹿』のシングルCDに入ってる。 natalie.mu

2020年7月号の『聴く』

「ドストエフスキーとキリスト教」 今日の花。全部、教会の庭の花。

花が咲いて枯れるというのは・・

花が咲いて 枯れるというのは、 感動が胸に拡がるということだ。 あなたが最も幸せなときには、この書は、何の価もないものかもしれません。けれども、あなたが不幸や病気や、心の傷つけられているときにこの書はあなたのものであります。私は平凡なひとりの…

花がしぼむというのは、

花が しぼむというのは、 感動がうまれるということだ。 meromeropy77.hatenablog.com

ちょっとここで、カラマーゾフのイワンのことを・・(加筆あり)

ドストエフスキー作品についてばかり書いているとアクセス数が低迷するようなのだが(笑)、構わず続けようと思う。 「ドストエフスキー『罪と罰』33」で『カラマーゾフの兄弟』のスメルジャコフについて書いていて、イワンの台詞が気になった。 「おい、お…

「救い主として敬われたかった男」ルージンと、スメルジャコフ − ドストエフスキー『罪と罰』33

もう何年になるだろう、ずっと以前から、彼は心とろける思いで結婚のことを夢にえがき、それでもこつこつと金をためることに専心して、時節を待っていた。彼は心の奥底に秘めかくすようにしながら、品行がよくて貧乏な(ぜったいに貧乏でなければいけない)…

(暴露主義者?)レベジャートニコフと、ルージン − ドストエフスキー『罪と罰』32

まだ田舎にいるうちからルージンは、かつて後見をしてやったレベジャートニコフが、いまは若手の進歩派のちゃきちゃきとして、よく話題にのぼる現実ばなれした一部のサークルで羽ぶりをきかせている噂を聞きこんでいた。この噂はルージンをおどろかせた。ほ…

重荷となっている人々が錨となってつなぎ止めている − ドストエフスキー『罪と罰』31

「だって、みんながあなたひとりの肩にかかってきたじゃありませんか。なるほど、以前にも、みながあなたにおぶさっていた。(岩波文庫『罪と罰 中』p266) 『ちがう、今日まで彼女を運河から引きとめてきたのは、罪の意識なんだ。それと、あのひとたちだ、…

朝になると・・

朝になると、やはり崩れていた。 紫陽花が弱ってきているのかと思ったが、そうではなくて、小さい方のが光に向かって向きを変えたので、中央に隙間が出来てしまっていたのだ。それで、紫陽花の向きを変えて入れ直した。夾竹桃の位置も変えた。光に向かってい…

ポーレチカ、リードチカ、コーリャ − ドストエフスキー『罪と罰』30

ポーレチカ、リードチカ、コーリャというのは、ソーニャにとっての継母カチェリーナの連れ子である。 一番上のポーレチカはマルメラードフの臨終に際して、ソーニャを呼びに行くようにカチェリーナから命じられる。 「ポーリャ!」とカチェリーナが叫んだ。…

夢のあわいに、時の間(ま)に・・・

目覚ましが鳴るまでもうあと11分 妹あやしき保護区の保護に 私には妹も弟もいない 「沈黙は加害の側に立つこと」と洗脳電波流れ来・・・、沈黙 わたくしは祈ってなどはおりません立ちつくしてるただそれだけの・・ 電話の後で 友人の悩みの深さに祈ることで…

願いを共有する(祈りについて)

また、はっきり言っておくが、どんな願い事であれ、あなたがたのうちの二人が地上で心を一つにして求めるなら、わたしの天の父はそれをかなえてくださる。二人または三人がわたしの名によって集まるところには、わたしもその中にいるのである」。(マタイに…

祈りは、無力を知ったところから始まる

祈りについて考える会合の中で、一人の青年が、クリスチャンでない友人に祈って欲しいと頼まれたという話をしたそうだ。試験に受かって単位が取れなければ資格を習得できないから祈って欲しい、と。その時この青年は、自分が祈ったからといって試験に受かる…

神さまは、祈ることを、美しいことと見ていてくださる

「地の塩、世の光とされて」マタイによる福音書5:13-20 堤隆牧師説教 この立派な行いというのは、元の言葉は良いとか美しいという言葉が当てられています。「良い行い」、「美しい行い」、人が見て心惹かれる業、自分もああなりたい、自分も行ってみたい、そ…

ソーニャについてのラスコーリニコフの考察 − ドストエフスキー『罪と罰』29

しかし、それにしても、こうした性格をもち、まがりなりにも教育を受けているソーニャが、けっしてこのままの状態にとどまっていられないだろうことも、彼には明らかだった。やはり彼は、ひとつの疑問をふっきれない ーー なぜ彼女はこんなにも長い間、こう…

「神さまがなかったら、わたしはどうなっていたでしょう?」− ドストエフスキー『罪と罰』28

「求めよ、さらば与えられん」というイエスの言葉は聖書の中でもあまりにも有名な言葉だろうと思うが、これについて記されたルカによる福音書の方では以下のように続いている。 そこで、私は言っておく。求めなさい。そうすれば、与えられる。探しなさい。そ…

葛原妙子62

遠街に人あらはれて消ゆるなり神よ悲哀を目守りたまはな 『鷹の井戸』 眠れぬままにカーテンを少しだけ開けて明るくなった外の光を入れ、葛原妙子の歌集を捲っていた。生きては死んでゆく人の悲哀を詠っている、と思った。 みゆるごとあらはれながらとこしへ…

梅雨には雨がふさわしい

生きるのがいやになります生きてます雪に傘さすこともないまま・・ 子どもの頃から人は皆いつか死ぬのだと考えては死を恐れていた。そのくせいつも死にたい死にたいと思い、それなのに死のうとしたことなど一度もなくて、死を予告する手紙を寄越した友人を大…

跪(ひざまず)く − ドストエフスキー『罪と罰』27

・・・・・ふいに彼は、すばやく身をかがめると、床の上につっ伏して、彼女の足に接吻した。ソーニャはぎょっとして、相手が狂人ででもあるかのように、思わず身をひいた。事実、彼は正真正銘の狂人に見えた。 「どうなさったんです。どうしてこんなことを?…

ソーニャ7 − ドストエフスキー『罪と罰』

兄はひとりきりではない。彼女、ソーニャのもとへ、兄は最初に懺悔にやってきた。兄は人間が必要となったとき、彼女のなかに人間を求めた。彼女は、運命のみちびくまま、どこへでも兄の後について行くにちがいない。(岩波文庫『罪と罰 下』p350) やはりこ…

紅(べに)滲ませて・・

ナデシコ。 昨年長老が持ってこられたのを、花瓶にずっと入れておいたらこの色のだけ根を出した。 花壇の隅に埋めておいたら、花を咲かせた。 こちらは、 ヒルガオ? 近所のサツキの植え込みに這い上がって群がって咲いているのを、夜、こっそり貰ってきた。…

フィンセントの悲しみは知らず麦秋

私はゴッホにどこで出会ったのだったろうか?と考えていた。 好きだった絵は? 『オーヴェールの教会』だ。 子どもの頃、カレンダーか何かで目にした絵だった。オーヴェールという所が実際はどういう所かは知らないが、この絵を見ると、私の生まれ育った紀南…

ソーニャ 6 − ドストエフスキー『罪と罰』

「グリム童話『手なし娘』とソーニャ 」で私は、「この『手なし娘』に象徴されているのは、《徹底した無力》であろうと思われる」と書いた。そして、「ソーニャから思い浮かべたのは、この『手なし娘』であった」とも記した。 この《徹底した無力》は、十字…

「『良かった!』と整えられた世界にアダムとエバは置かれた」ー 5月24日主日礼拝説教

聖書:創世記 1:27〜28 ローマの信徒への手紙 8:19〜23(新共同訳) 現在、新型コロナウィルス感染拡大の状況を鑑み、礼拝堂に共に集うことを控えております。この間、アメリカ合衆国長老教会が子どもたちのために作成しました『はじめてのカテキズム』に…

「薔薇ももう終わりだ」と、私の三首(春から夏へ)

一面に薔薇を散らして紅を敷く 横たわる薔薇にひらめく星二つ 薔薇の花の重みで、フェンスに取り付けてあった針金が切れてしまったので、取り替えて、少し剪定し、飾ろうと思うが、花びらがはらはらとこぼれ落ちる。 飾る分だけ残して、紫陽花の根元に置く。…