私はゴッホにどこで出会ったのだったろうか?と考えていた。
好きだった絵は?
『オーヴェールの教会』だ。
子どもの頃、カレンダーか何かで目にした絵だった。オーヴェールという所が実際はどういう所かは知らないが、この絵を見ると、私の生まれ育った紀南地方そのままだと感じたのだった。紀南地方は雨の多い所だが、同時にこんな陽光の青い空を持っている、と。
そしてこの教会は、私が中学の頃に初めて足を踏み入れた教会そのものなのだった。
かつて、心が弱っている時に紀南地方の教会から説教をして欲しいと頼まれ、「あんな明るい所へ行って自分が何を語ることがあるだろうと思いながら行ってみると、そこには病のために何年も寝たきりでいる奥さんを抱えた人がいて・・」と話された牧師がいる。
明るい、不幸などどこにあるだろうかと思えるようなところに・・・。
憧れて止まないものと、この世の現実の暗さが渾然としている。
教会とは、そういうところだ。
しかしキリストは言うだろう、「私はそこにいる」と。
神の国は、実にあなたがたのただ中にあるのだ」(ルカによる福音書17:21)