風と、光と・・・

すべての人を照らすまことの光があって、世にきた。(ヨハネによる福音書1:9)

葛原妙子の短歌とキリスト教

葛原妙子62

遠街に人あらはれて消ゆるなり神よ悲哀を目守りたまはな 『鷹の井戸』 眠れぬままにカーテンを少しだけ開けて明るくなった外の光を入れ、葛原妙子の歌集を捲っていた。生きては死んでゆく人の悲哀を詠っている、と思った。 みゆるごとあらはれながらとこしへ…

葛原妙子61

晩夏光おとろへし夕 酢は立てり一本の壜の中にて 葛原妙子『葡萄木立』 酸いぶどう酒とは酸っぱいぶどう酒のことです。英語の訳を見ますと、ビネガーと訳されているものもあります。ワインから作った酢、ワインビネガーのようなものでしょう。これは苦しみを…

『聴く 10月号』

今回の『聴く』は、長老の創世記18章1節〜14節の「聖書を読む」を間に挟んで、1ページと4ページ。

『聴く』4月号

讃美歌272番は、讃美歌練習で○○長老が取り上げられて初めて歌った讃美歌です。

葛原妙子の短歌とキリスト教

私が葛原妙子について書き始めたのは、川野里子氏の『幻想の重量 ー 葛原妙子の戦後短歌』を読んだからである。川野氏はこの中でこう書いている。 しかし信仰を語るとき葛原にとって「血をわけた」ことがさらに問題になる。亡くなる五ヶ月ほど前に入信した葛…

葛原妙子60

明るき昼のしじまにたれもゐず ふとしも玻璃の壺流涕す 葛原妙子 『葡萄木立』この歌を初めて目にしたのは、森岡貞香による「葛原妙子 秀歌50首 選」であった。 高校時代、文学史という教科書があって、授業はなかったのだが、自分で読んで暗記して試験は受…

みたび主を否みしのちに漁夫ペテロ(葛原妙子歌集『朱霊』より)

● ルカによる福音書22:54~62からの説教 「聖書の言葉を聴きながら」 わたしたちは、主イエスが十字架を負われ命を献げられたのは、このわたしのためであったと気づいたとき、主イエスを救い主として信じるのです。ただ素晴らしい人、尊敬できる人としてでは…

葛原妙子59

かすかなる揺れをみたしし一杯の水あり師の君死にたまひけれ 『薔薇窓』 ミケランジェロ彫りたるヴィンコリ聖堂のモーセとおもふ御(み)顔を拝すこれらの短歌は第四歌集とされる『薔薇窓』の中の「白輪」に収められたものである。 「白輪」の一首目に措かれ…

塩の壺と、二つの林檎

● 十二月二十八日午後二時のひかりのなかに二つの林檎 今井恵子『渇水期』(2005年・砂子屋書房) 卓上に塩の壺まろく照りゐたりわが手は憩ふ塩のかたはら 葛原妙子『朱靈』 あなたの素祭の供え物は、すべて塩をもって味をつけなければならない。あなたの素…

葛原妙子58

静かなる暴力われ猫一尾をみな子三人(みたり)をしたがふるとき 『薔薇窓』暴力にも様々あることを思わされる。 知人の中に、夫君に叩かれて片耳が聞こえなくなった、あるいは聞こえづらくなったという人が何人かいる。私の父も酒を飲んでは暴力をふるう人…

ナイアシンと忍耐力

ナイアシンが多いと相当に忍耐力があるのではないだろうか。 ナイアシンは糖質を脂質に変えて蓄え、いざという時のエネルギーを確保するからだと思う。 前にカリウムの塩を摂っていた時は、自分でもどうにもならないくらい切れやすくなった。 「カリウムはグ…

「夏至」と言えば、葛原妙子の歌

夏至の火の暗きに麦粥を焚きをればあなあはれあな蜜のにほひす 葛原妙子 麦粥を掬へる皿に落ちてゐしおほたにわたりの影にあらずやも 関連過去記事→「葛原妙子52」 「葛原妙子53」 「葛原妙子53の番外編」 梅雨に入っても雨が降らないと思っていたら、いきな…

葛原妙子57

二十四本の肋骨キリストなるべし漁夫は濡れたる若布を下げて 『原牛』『原牛』は葛原妙子の第五歌集である。「あとがき」には、「この歌集に収められている歌が歌われた期間に、十日ばかりの旅を二度することが出来た。原牛、は日本海をみて得た名である。原…

大口玲子さんの歌の向こうに葛原妙子の短歌が見える

初笑海馬のなかに散らかして https://t.co/x1zJXimRZi #haiku #fhaiku #kigo— いらくさ (@irakusaa) 2016, 1月 13 寒夜このデモにまぎるる瘦身の今も地上を歩むイエスは 大口玲子『桜の木にのぼる人』大口玲子さんの歌集『桜の木にのぼる人』の中にこの歌を…

葛原妙子51に手を入れたもの

寒き日の溝の辺(へり)歩み泣ける子よ素足のキリストなどはゐざるなり 『飛行』 葛原妙子の第三歌集に収められている歌である。裕福な医師の家に生まれながら、両親の離婚によって幼い頃に親戚の家に預けられた葛原妙子は、素足で自分の傍らに寄り添って歩…

葛原妙子56

ドストエフスキーの忌日とあやふくかさならむわが誕生日街に思ひをり 『原牛』 葛原妙子のこの短歌は、第五歌集『原牛』の中の「灰姫」の[雪蔵]の中にある。この歌の少し前には次のような歌が入れられている。雪の音耳に磨れをりさやげるはそびえっとの亜麻 …

葛原妙子32に手を入れたもの

「葛原妙子32」に手を入れて印刷したものを写真に撮って掲載する。 咲きをへし緋のちゆうりつぷ球根のいたく痩せしをてのひらに載す『をがたま』 白でなく、真紅でもなく、「緋」であるところが印象的であり象徴的であると思う。 闘い抜いて来たのだ、生き…

葛原妙子55

美しき球の透視をゆめむべくあぢさゐの花あまた咲きたり『原牛』この短歌について、歌人の松村由利子さんが制約のある短い文章に纏められたものを拝見して、触発され、その続きを書きたいと思った。 http://www.sunagoya.com/tanka/?p=13394(『一首鑑賞 日…

葛原妙子54

● 読書『撤退するアメリカと『無秩序』の世紀』、『0717 再稼働反対!首相官邸前抗議』+『戦争法案強行採決に反対する国会前緊急抗議行動』(参加者5万人) じゃあ、日本はどうすればいいのでしょうか?著者は日本が軍事力を高めてアメリカの部分的な肩代わ…

葛原妙子53の番外編(オートミールに含有されるシスチンは放射線の害も防げるって?)

燕麦粥(オートミル)掬へる皿に落ちてゐしおほたにわたりの影にあらずや 『をがたま』補遺 『元素周期表で世界はすべて読み解ける』を読んでいて、以下のような記述に行き当たった。 イオウは体内で7番目に多い元素で、原子の数でいうと人体全体の0・04%が…

葛原妙子53

鷺・白鳥・鶴の類食ふべからずと旧約聖書申命之記 『鷹の井戸』「夏至の火」 水銀を含みにけりなしろとりの中なる鷺もつとも異(あや)し葛原妙子の第八歌集『鷹の井戸』の「夏至の火」の中には上記のような面白い短歌が組み入れられている。「食べるな」と…

葛原妙子52

夏至の火の暗きに麦粥を焚きをればあなあはれあな蜜のにほひす 『鷹の井戸』 葛原妙子の第八歌集『鷹の井戸』の「覚えがき」には次のように記されている。 このたびの新しい歌集のために、私はかねてから「夏至の火」(一九七三年作三十首の題名)という集名…

葛原妙子51

家の中が片付ききらないうちから、庭のことに手を出し始めてしまったので厄介なことになっている。庭というのは人を育てるのと差ほど変わらない手間がかかる。植物は生きているから・・。そんなことで時間が取られ、その上、陽にも当たり過ぎてふらふら眩暈…

葛原妙子50

● 『GDPの下方修正』と『原発避難者支援活動のリーフレット』、映画『トム・アット・ザ・ファーム』 『お母さんを支えつづけたい: 原発避難と新潟の地域社会』というリーフレットを頂いたので感想を。 机の前で考えているだけでは決してわからない類の話…

葛原妙子49

淡黄のめうがの花をひぐれ摘むねがはくは神の指にありたき 『薔薇窓』「葛原妙子48」で私は、最晩年の病の後、妙子が自分が歌人であったことさえも忘れていたと、川野里子=著『幻想の重量−葛原妙子の戦後短歌』(木阿弥書店)の中で森岡貞香氏によって語…

葛原妙子48

少年が成年となりてたくはへし頤鬚わかきキリストめきたり 『をがたま』 ここに詠われているのは、第六歌集『葡萄木立』の「後記」に語られている葛原妙子の「濃い血液をわけ与えている」男の子であろうか。それとも、長じてカトリックの司祭になられたとい…

葛原妙子47

あめつちのはじめの日に夕ありき朝ありき悪しきものは萌え出で『鷹の井戸』 葛原妙子は第七歌集『朱靈』で自己の罪と深く向き合ったと私は考えていたのだが、第八歌集『鷹の井戸』のこのような短歌を見ると、人間というのは難しいものだとつくづくと思わされ…

葛原妙子46

かすかなる灰色を帶び雷鳴のなかなるキリスト先づ老いたまふ『をがたま』 朴の木も橅も虛空にそばだつを夜陰の樹間いなびかりせり 凭(よ)りかかるキリストをみき青ざめて苦しきときに樹によりたまふ この三首は「葛原妙子32」でも取り上げたのであるが、…

葛原妙子45

葛原妙子の歌の中には「塩」に纏わる短歌が多いように思われる。第五歌集『原牛』では塩分濃度の高い死海を詠った歌もいくつか見られる。また、第七歌集『朱靈』では「塩」と「塩湖」とその周辺を歌にしている。鬼子母のごとくやはらかき肉を食ふなれば僅か…

葛原妙子44

使徒長き人差指に示したる羊なりしや葡萄なりしや『鷹の井戸』 「葛原妙子38」で「この歌の使徒は、イスカリオテのユダだろうかと何とはなしに思った」と書いたのだったが、町田俊之『巨匠が描いた聖書』(いのちのことば社)の中のマティアス・グリューネ…