寒き日の溝の辺(へり)歩み泣ける子よ素足のキリストなどはゐざるなり 『飛行』 葛原妙子の第三歌集に収められている歌である。裕福な医師の家に生まれながら、両親の離婚によって幼い頃に親戚の家に預けられた葛原妙子は、素足で自分の傍らに寄り添って歩…
ドストエフスキーの忌日とあやふくかさならむわが誕生日街に思ひをり 『原牛』 葛原妙子のこの短歌は、第五歌集『原牛』の中の「灰姫」の[雪蔵]の中にある。この歌の少し前には次のような歌が入れられている。雪の音耳に磨れをりさやげるはそびえっとの亜麻 …
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