城址に春燈点り桜咲くこの夜桜を母は見しやと
働いて働いて来た母よあなたに夜桜の舞ひし日ありや
北海道から連れ帰って5日で母は亡くなった。
帰ったら、車椅子でも住めるように小さな家を建て替えて、時折施設から我が家に戻れるようにしよう、そんなことも考えていたのに・・。
それから私はぷっつり力が抜けてしまって何もやる気がせず、家もそのまま放りっぱなしで草だけが伸びている。
どうやら、去年の台風で床上浸水していたようだ。家が建っているところは川の側で、もともと土地が低かった。私が子どもの頃はほとんど毎年、台風の被害に遭っていた。祖父が宝くじに当たって家を建て替えた時、土を入れて土地を上げたので、それからは床上浸水することはなかったが・・。台風が去って一月も過ぎた頃、恐る恐る家の裏の入り口の戸を開けてみた。台所の板の間にうっすらと土が積もっていた。そして、又、私は戸を閉めた。
やる気が失せた時は、やる気が満ちてくるまで何もしないでいるより仕方がない。
桜が咲いて、又、草ぼうぼうの季節がやって来る。