風と、光と・・・

すべての人を照らすまことの光があって、世にきた。(ヨハネによる福音書1:9)

カルシウムを摂る!

カルシウム食材を摂る際の注意点を記しておこうと思う。
これまでにも書いてきたがカルシウムの吸収を高めるためにはビタミンDが活性型になる必要がある。このためにマグネシウムが必要となる。しかしマグネシウムを摂り過ぎるとカルシウムの働きを抑制する。

活性型ビタミンDの作用の1つに、カルシウム吸収促進作用がある。活性型ビタミンDは、小腸のカルシウム結合たんぱく質遺伝子の転写を促進し、合成されたカルシウム結合たんぱく質が、小腸管腔内からのカルシウム吸収促進に働く。また、腎臓におけるカルシウムの再吸収や、骨から血中へのカルシウム溶出を促進し、血中カルシウム濃度を調節している。(川端輝江=編著『しっかり学べる!栄養学』(ナツメ社)より)
この引用文を見ると、カルシウムの吸収には結合するたんぱく質も必要であることが解ると思う。しかし又、たんぱく質の過剰摂取は、尿中へのカルシウム排泄量を増加させる」(『しっかり学べる!栄養学』p202)とも記されている。

他にも、カルシウムの吸収を阻害する物として、穀類・豆類に含まれるフィチン酸、シュウ酸、リン、(特に不溶性の)食物繊維、重金属などが上げられている。

吸収促進する物としては、クエン酸、ビタミンC、ビタミンK、ラクトース(乳糖)、(メチオニンヒスチジン、リシン)等のアミノ酸カゼインホスホペプチドが上げられている。

カゼインホスホペプチド(CPP)は、乳たんぱく質カゼインから生成されるペプチドで、乳糖の少ないチーズのカルシウムがよく吸収されることから発見されたそうである。
しかし、このカゼインが分解されてできたペプチドの中には腸の蠕動運動を抑制する作用もあるようなので、牛乳などを摂り過ぎると便秘になる場合も考えられる。(参考:中村丁次=監修『栄養成分バイブル』)

また、カルシウムの過剰症としては、ミルクアルカリ症候群、泌尿器系結石、他のミネラルの吸収抑制などが記されている(『しっかり学べる!栄養学』)

自然食指向の人々の間では、牛乳は体に良くない、牛乳のカルシウムは吸収されにくいというようなことが言われるように思うが、決めつけて排除しないで、科学的に再考することが必要だと思われる。

生田哲=著『がん治療の最前線』には以下のように記されている。

 私たちが日ごろ口にする牛乳の約8割は妊娠牛からのものです。妊娠牛から搾乳することの問題は、妊娠中の乳牛から搾った乳は、妊娠していない乳牛からの乳の数倍から十数倍のホルモンを含んでいることです。みなさんが飲んでいる牛乳には、エストロゲン、成長ホルモン、IGFなどの強力なホルモンが大量に含まれているのです。牛乳は「ホルモンカクテル」なのです。
 牛乳を飲むと、これらのホルモンが体内に入ります。成長ホルモンはIGFを放出させ、血液中に放出させます。IGFは乳腺細胞を増殖させます。加えて、エストロゲンも乳腺細胞を増殖させます。IGFエストロゲンの相乗効果により、乳がんの引き金が引かれるのです。
 また、男性の場合、IGFが細胞を増殖させることにより、前立腺がんのリスクが高まります。
 がん患者やがんの高リスク者は、牛乳を飲むのを控えるのが賢明です。少なくとも牛乳を健康のために飲むべきではありません。牛乳を健康のためではなく、嗜好品として飲むのならいいのですが。(生田哲=著『がん治療の最前線』(サイエンス・アイ新書)より)

これを読むと、カルシウムを摂取するためであっても、牛乳ばかりに頼らない方が良いということが解るだろう。

放射性ストロンチウムの体内蓄積を軽減するためにも、カルシウム、マグネシウムビタミンDのバランスを取りながら摂取することが必要だと考える。