風と、光と・・・

すべての人を照らすまことの光があって、世にきた。(ヨハネによる福音書1:9)

副腎皮質(ステロイド)ホルモンはコレステロールから造られる

コレステロールは脂質の一種で、食物から吸収されて血液の中に入り、肝臓で細胞膜などの細胞構成材料や、ビタミンDの材料などに、また、副腎や精巣、卵巣ではステロイドホルモンの生成などに利用されます。…。
コレステロールは、水に溶けないので、血液中ではたん白質と結合して流れています。これをリポたん白と呼び、低比重のリポたん白(LDL)と、高比重のリポたん白(HDL)に分けられます。LDLは、肝臓から細胞組織に必要なコレステロールを運び、蓄積します。HDLは逆に、細胞組織で不要となったコレステロールを取り去り、肝臓へ運ぶ役割を担っています。(堺章『目でみるからだのメカニズム』(医学書院)より)

パントテン酸やカルシウムを摂っても、コレステロールがなければアレルギーに対抗する副腎皮質(ステロイド)ホルモンを造ることは出来ないと言える。
引用から、ビタミンDコレステロールから造られていることが解る。ここから、ビタミンD脂溶性だということにも肯ける。

 コレステロールは、細胞の膜の内部をつくるのになくてはならない成分であるばかりか、テストステロン(男性ホルモン)、エストロゲン(女性ホルモン)、コルチゾールなどの重要なホルモンの生産に欠かせない物質でもある。
 脂肪は、わたしたちが生きるのに不可欠の物質であって、悪者扱いするのは大間違いである。脂肪が身体に悪いと誤解されたのは、アメリカ人に肥満と虚血性心疾患が多発していて、この元凶に脂肪が名指しされたからである。彼らが太るのは、単に摂取エネルギーが消費エネルギーを上回っているからである。(生田哲=著『心の病は食事で治す』)

ここに記された「コルチゾール」は副腎皮質ホルモンの一種で、抗アレルギー作用を持ち、ストレスに対抗する。


 コレステロールは体内でこんな作用をします
 ●細胞膜の原料となる。
 ●副腎皮質ホルモンを合成する。
 ●消化液である胆汁酸の原料となる。
 ●太陽光線に当たるとビタミンDの先駆物質をつくる。
       (中村丁次=監修『栄養成分バイブル』より)


 脳の栄養について考えるとき、私はコレステロールほど誤解の多いものはないと思っている。健康診断では、コレステロール値が高いと注意される。それもあって巷には低コレステロールを売りにした食品もたくさんある。
 しかし、たんにコレステロール値が低いからといって、健康になれるとはかぎらないのだ。脳に関していえば、むしろ低コレステロールがさまざまな問題を起こす場合もある。
 先ほど、コレステロールが脳の神経細胞のかたちを維持していると説明したが、コレステロールは脳の情報伝達機能と深くかかわっている。
(中略)
 これは私の印象だが、クリニックを訪れる患者さんを診ていても、コレステロール値と脳の機能には相関関係があるように感じる。コレステロール値が低い人は、受け答えが緩慢で、動作も鈍いという傾向がある。これは年齢的なものではなく、若い人のなかにもそうした傾向が見られる。しかし、コレステロール値を上げる指導をし、実際に値が上がってくると、会話のキャッチボールがスムーズになってくるのだ。
 実際、低コレステロールの女性は、産後うつになりやすいという報告や、うつによる自殺者の多くが、低コレステロールだったという報告もある。
 コレステロールは、脳に欠かせない栄養なのだ。
(中略)
 このように決められた基準値では、20~30代くらいの人であれば、男女とも95%が基準範囲内におさまる。しかし、年齢が上がっていった場合はどうか。
 女性はとくに閉経を迎える頃になると、それまでつくられていた女性ホルモンが減ってくる。そうするとこれを上げようとしてコレステロールが増える。また、年齢が上がってくると骨粗鬆症になる割合も上がってくる。この予防にはビタミンDが働くのだが、このビタミンDの材料になっているのも、コレステロールなのだ。
 年齢とともにコレステロール値が上がってくるのは、身体の生理反応であるといえる。しかし、40代、50代以上の人にも単純に“正常値”をあてはめてしまっているというのが現状だ。
(中略)
 コレステロールは、体内で別の物質にもつくり替えられている。それが、コルチゾールをはじめとするステロイドホルモンであり、骨代謝に重要なビタミンDであり、アンチエイジングにもっとも重要な男性ホルモンや女性ホルモンなどの性ホルモンなのである。いたずらに投薬によってコレステロール値だけ下げることの危険性を、ご理解いただけると思う。
(中略)
 しかし、これは正確な表現ではない。「悪玉」なのは、「酸化した」LDLコレステロールであって、「酸化していない」LDLコレステロールは、むしろ重要な役割を担っているのだ。
 じつは、性ホルモンの材料になっているのはLDLコレステロールであり、細胞膜を構成しているのもLDLコレステロールだ。そして酸化を防ぐ主役であるビタミンEも、LDLコレステロールにとり込まれて、末梢組織へ運ばれるのである。さらにこのコレステロールのなかにはコエンザイムQ10も含まれている。こうしたいろいろな“材料”を引き連れて末梢組織をめぐっているのだから、悪玉であるはずはないのだ。問題は、LDLコレステロール自体にあるのではなく、LDLコレステロールが「酸化」してしまうことにある。
(中略)
 たんぱく質や糖質、コレステロールなどの栄養素それ自体が悪いのではない。それぞれの栄養素は身体や脳にとって重要な働きをしている。それがフリーラジカルによって「酸化」してしまうことが問題なのだ。(溝口徹=著『「脳の栄養不足」が老化を早める!』(青春出版社)より抜粋引用)

ステロイド剤などの薬を外から取り入れると、体は副腎皮質ホルモンを造らなくなるという。このことから考えても、上記の、「女性はとくに閉経を迎える頃になると、それまでつくられていた女性ホルモンが減ってくる。そうするとこれを上げようとしてコレステロールが増える」や「年齢とともにコレステロール値が上がってくるのは、身体の生理反応であるといえる」に納得がいく。
逆に考えれば、女性ホルモンなどが造られなくなれば、その分のコレステロールを脳細胞などへと使うことができるようになるということではないか?歳を取ったら、若い時以上にバンバン頭を使うと良いかも知れないし、使えるようになるように思う。

最後に記された、コレステロールフリーラジカルによって「酸化」させてしまわないためには、スーパーオキシドジスムターゼを造る亜鉛や銅、抗酸化に働くビタミンA、E、Cが必要になってくると思われる。放射線汚染に対抗するためにもこれらの栄養素は重要だと言える。

しかし亜鉛過剰によってアレルギー様反応に悩まされている人は亜鉛の摂取には注意が必要である。