風と、光と・・・

すべての人を照らすまことの光があって、世にきた。(ヨハネによる福音書1:9)

ストレスによる神経細胞の萎縮とグルココルチコイド(副腎皮質ホルモン)、そして亜鉛との関係

以下に書くことは仮説についての仮説です。間違いが含まれているかも知れません。

副腎皮質ホルモンは、電解質コルチコイド(アルドステロンなど)、糖質コルチコイド(コーチゾンやハイドロコーチゾンなど)、副腎性性ホルモン(副腎アンドロゲン)の三種類ある。このうち、ここで問題になっているのは、コルチゾールと呼ばれたり、グルココルチコイドと呼ばれたりしている糖質コルチコイドである。

 ストレスの応答反応が非常に強かったり、長い間応答が続いていると、身体にさまざまな影響が出てくる。
 よく知られているように、血圧の上昇が続くため、高血圧の原因になる。血糖値も上がり、糖尿病の原因となる。とくに、後述するグルココルチコイドの蓄積によるステロイド糖尿病が起こりやすい。全身の筋が緊張する筋組織の損傷も起き、生殖能力の低下、成長抑制、免疫機能の低下なども引き起こす。…。
 ストレスがかかると…、副腎からアドレナリンやノルアドレナリン、副腎皮質ホルモン(ステロイドホルモン)などが分泌される。これらホルモンが、心拍数上昇、血圧上昇などのストレス応答を引き起こすが、もっとも有害なのが、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモンの指令系統により分泌されるステロイドホルモンのひとつ、グルココルチコイド(糖質ステロイド)ではないかといわれている。
 このホルモンは、ストレス応答により脳に作用して、たんぱく質分解を促進するなどで、エネルギー確保に働くと考えられる。…。
 ストレスは脳を損傷することも知られており、とくに海馬での影響がよく研究されている。…。
 長期間続くストレスの場合、その影響はさらに大きく、海馬CA1領域のニューロンが破壊される、CA3領域の樹状突起が萎縮する、などの研究報告がある。
 これらの影響は、グルココルチコイドの血中濃度上昇が関係すると考えられる。
 一方で、短時間のストレス負荷の場合、海馬のニューロンを保護する…という物質が増えるとの研究もあり、短時間かつ適度なストレスによる、ポジティブな影響についても研究が進められている。
(坂井建雄、久光正=監修『ぜんぶわかる脳の事典』(成美堂出版)より)


 モノアミン仮説は、…シナプス間隙で、モノアミン(セロトニンノルアドレナリンドーパミンなど、気分に関与する神経伝達物質の総称)の量が減少することをうつ病の原因とするものだ。(中略)
 神経可塑性仮説は、過度なストレスによって脳内の神経栄養因子が減少し、うつ病が発症するというものだ。神経栄養因子は神経細胞の栄養分のような存在で、新しい神経細胞をつくったり、成長を助けたりする働きがある。したがって神経栄養因子が減ると、連鎖的に神経細胞も減る。…。
 SSRIなどの抗うつ剤を服用してモノアミンの量が増えると、神経栄養因子の産生が増加する。そして神経細胞の数が増え、うつ状態が改善すると考えられている。
池谷裕二=監修『脳と心のしくみ』(新星出版社)より)

この神経可塑性仮説で言われている「神経栄養因子」モノアミン仮説でのモノアミンを造っている栄養因子は、亜鉛ではないかと私は考える。これまで何度も書いてきたが、亜鉛は副腎皮質ホルモン中のグルココルチコイド(コルチゾール)によって排斥される。亜鉛たんぱく質の合成に働き、細胞の新生に関与している。その亜鉛がグルココルチコイドによって排斥されることで神経細胞や伝達物質が減少するのではないだろうか。

以下のサイトには、亜鉛シナプス小胞に多く含まれ、神経伝達物質と共に放出されて神経伝達物質の受容体を活性化すると記されている。
  ↓
http://www.nyusankin.or.jp/health/pdf/Nyusankin_486_b.pdf

関連過去記事
  ↓
トリプトファン→キヌレニン→ナイアシンと、コルチゾール(副腎皮質ホルモン)