ちょっとここで補足しておこう。
新約聖書はギリシャ語で書かれているということだが、イエスが遣っていた言葉はアラム語だったとも言われている。ギリシャ語を日本語に訳すだけでなく、その前の時点から齟齬が生じるとも思える。しかもユダについて快く思わなかった人々の思惑も入り込んでいる可能性もある。
ユダについて、ふたたび
このヨハネによる福音書の13章26節を田川氏は以下のように訳しておられる。
イエスが答える、「私が(パンを)一片(ソースに)ひたして与える者だ」。それで一片をひたし、取って、イスカリオテ人シモンの子ユダに与える。(ヨハネ福音書13章26節『田川建三訳著 新約聖書』より)
この、「ソースに」と括弧書きで記されている所は、私は、「葡萄酒」と受け取った。
以下は、4月号の『聴く』で書いた「ユダについて」