風と、光と・・・

すべての人を照らすまことの光があって、世にきた。(ヨハネによる福音書1:9)

カリウムを動かすもの

以下の記事には、本屋での立ち読みで得た情報が混ざっているので、参考書籍を詳しく提示することが出来ません。また、記憶が曖昧な部分があるので間違いが含まれているかも知れません。

田村哲彦=著『からだに効く食べもの事典』に、「食物繊維とコハク酸カリウムの相乗効果で、高血圧、特に最小血圧が高い人に対して有効です」とニンジンについて書かれている。
高血圧だとか、血圧を下げるというと、上も下も関係なく書いているものが多いのだが、上の血圧と下の血圧は、圧のかかる方向が真逆なのだから、ひっくるめて考えるのがそもそもおかしいのではないだろうか。
この本に書かれている最小血圧が高いというのは、左心室が拡張している時の内側から外に向かう力への抵抗が大きいということだと私は理解している。つまり、極端なことを言うと、うっ血性の心不全を起こしている場合がこの状態にあてはまると考えられる。そこで、「カリウムの多い物を摂取して尿として体液を外に出すことで血圧を下げる」ということになるのだ、と理解できる。

しかし問題は、「カリウムがどこに存在しているか」、なのだと思うのだ。
生体内のカリウムは、98%が細胞内に、2%が細胞外に存在している(『しっかり学べる!栄養学』)ということなのだが、内分泌ホルモンや神経伝達物質によっても移動させられるようである。
インスリンが作用してナトリウム濃度を上げカリウム濃度を下げるというのは、インスリンが腎機能に作用した場合、尿細管でナトリウムが再吸収され、カリウムは再吸収されず尿として排出されるということだと思われる。また、同じインスリンが細胞の内外で作用した場合は、Na/H交換輸送体を活性化させ、細胞内に流入したナトリウムを外に出すためにカリウムが細胞内に取り込まれる。

また、甲状腺ホルモンやアドレナリン、ノルアドレナリン等の神経伝達物質がはたらいた場合もカリウムの細胞内移動を促進させる。これらは交感神経を優位にして活動の体勢をとらせる。そのため筋肉中にカリウムを多く必要とするのではないだろうか。
エネルギーは骨格筋でつくられる。カリウムはグリコーゲンをグルコースへと分解するはたらきもしている(『栄養医学ガイドブック』)ということだから、細胞内にカリウムが多ければ筋力が大きいと言えるのではないだろうか。
骨格筋の収縮は、ナトリウムチャンネルが開き、最終的にカルシウムイオンが細胞内に移動する際に起こると思うが、筋細胞を根底で支えているのはカリウムではないかと思う。カリウム不足によって筋無力症が起こると、どこかに書いてあった。

筋肉の収縮力が高ければ、上の血圧は高めになると考えられる。左心室から血液を押し出す力が高ければ、その抵抗も大きくなるはずだ。血圧というのは、そこに動脈硬化などの疾患の有無なども関連して変わってくるだろう。何故血圧が高いのかということは、一つの事象だけでは説明できない事柄である。動脈硬化などで血管が狭まって高くなっている場合と、他の原因の場合と分けて考える必要がある。

だから、カリウムを摂ってナトリウムを一緒に尿中に排出させて下の血圧を下げるためには、カリウムを細胞内から細胞外、そして尿中へと動かすものについて熟知しなくてはならないと思うのである。この体のあり方を解っていないから、減塩しても、カリウムの多い物を摂っても、そして降圧剤を真面目に飲んでも、血圧がなかなか下がらないということになるのだ。

「治療抵抗性高血圧」というものがあるらしい。薬に逆らって、体が最適な血圧にしようとはたらいているのではないだろうか?体の状態を一定に保とうとするホメオスタシス(生体恒常性)である。

参考書籍:田村哲彦=著『からだに効く食べもの事典』(主婦の友社