風と、光と・・・

すべての人を照らすまことの光があって、世にきた。(ヨハネによる福音書1:9)

降誕節礼拝説教(ルカによる福音書2:8~20)とJesus Born On This Dayーマライアキャリー

きょうはイエス キリストの誕生を記念する降誕節礼拝です。

ルカによる福音書は、第2章でイエスの誕生の出来事を記しています。
ルカは、イエス誕生の出来事を記すに当たって、この世の支配者であるローマ皇帝の命令から語り始めました。そして、ローマ皇帝に続いてこの救い主誕生の物語に登場するのは、羊飼いたちです。
神は、救い主の到来を最初に伝える者として、最初の宣教者として羊飼いたちをお選びになられました。前回語りましたように、神はご自身に従おうなどと考えてもいないローマ皇帝の勅令でさえご自身の御業をなすために用いることのできるお方なのです。けれども、救い主の到来を伝える宣教者として選んだのは、社会的に何の力もない羊飼いたちでした。

2:8 さて、この地方で羊飼たちが夜、野宿しながら羊の群れの番をしていた。羊飼いたちは、その職業のゆえに宗教上の務めを十分に果たすことができず、正統的な信仰を持っていると自認している人たちからは軽んじられていました。手を洗うことを初めとした様々なきよめの規定、その他の細々とした規則を彼らは守ることはできませんでした。
けれど一方で、ベツレヘム近郊で飼われていた羊の群れは特別に神殿での犠牲用のものであったと言われています。ですから彼らは信仰上大切な務めを担っていた、と考えられています。
社会的に低い地位にあり、貧しかったであろう羊飼いたち。けれど、神の救いを証しする祭儀のために日夜使えている羊飼いたち。その彼らを救い主の到来を伝える宣教者として神はお選びになられました。
この羊飼いたちの姿は、わたしたちの姿でもあります。私たち一人一人にはローマ皇帝のように社会を動かしていくような力はありません。それどころか、「全世界の人口調査をしなさい」と言って皇帝が命令を下すと、全ての人々がその命令に従って動き出さなければならないように、私たちも又この世の為政者が「選挙をやる」と言えば皆こぞって投票所に足を運んで動き出さなければならない者達です。
けれど、いと小さき者、いと弱き者であるにもかかわらず、神は、神の言葉、神の救いの御業、神の喜ばしい知らせを伝えるために宣教者としてお選びになるのです。

2:9 すると主の御使が現れ、主の栄光が彼らをめぐり照したので、彼らは非常に恐れた。天使は羊飼いたちの日常のただ中、仕事の最中にやって来きました。
この救い主の誕生の物語にこの世の支配者であるローマ皇帝を登場させ、羊飼いたちの仕事の最中に現れた天使のことを語るルカは、わたしたちの日常の生活が神のご計画、神の御手のただ中にあり、神がわたしたちの日常生活のただ中で御業をなさることを伝えています。

2:10 御使は言った、「恐れるな。見よ、すべての民に与えられる大きな喜びを、あなたがたに伝える。神は、大きな喜びをすべての民に与えるために御業をなしておられます。神が何をなしておられるのか、神のご計画、その意図は何なのか、それがはっきりとここで告げられています。すべての民に大きな喜びを与えるために、神は救いの御業をなし続けてくださっています。
そしてその大きな喜びをもたらすのが、救い主の誕生であります。ですから、この救い主は、すべての民のために生まれたのです。「あなたには関係ない」と言われてしまうような人は一人としていないのです。

2:11 きょうダビデの町に、あなたがたのために救主がお生れになった。このかたこそ主なるキリストである。この「あなたがた」には、わたしたち一人ひとりが含まれています。
生まれた子どもは「救い主」であり「主」であり「キリスト」であると言われます。
救い主とは、困難、危機から救い出してくれる人のことです。主とは、自分の主人、自分を治める人のことです。ローマ帝国においては皇帝が主でした。
ルカは、ローマ皇帝と対比しながら生まれたばかりのこの子どもこそ救い主であり、主だと言っているのです。
そして、その子こそ神がご自身の御業のために選び出されたキリスト(油注がれた者)だと言うのです。

2:12 あなたがたは、幼な子が布にくるまって飼葉おけの中に寝かしてあるのを見るであろう。それが、あなたがたに与えられるしるしである」。羊飼いたちは、救い主の到来を伝えるために神によって選ばれました。その彼らが救い主に出会うためのしるしが備えられています。そのしるしは、幼な子が布にくるまれて飼葉おけの中に寝かされているというしるしであります。
旅先での備えのない場所。備えがないだけでなく、人の心に受け入れる余地もなかった。皇帝の命令を実行するため作られた貧しい仮の宿、そこにさえ余地がなく家畜小屋で生まれ、飼い葉桶に入れられている。この最も小さい場所において、神は救いの御業の成就を始められるのです。
神の言葉に導かれていくとき、神が生きて御業をなしておられるしるしを見るのであります。
私たちが神の言葉を主の日ごとに聞いている、そしてその言葉に導かれていくときに、目には見えないけれども、羊飼い達の日常の中でその仕事の最中に神の御業が行われたように、私たちの日常、私たちの日々の生活のただ中に、「あぁ神が生きて働いておられる、神が私と共にいてくださる」ーそのことを私たちは神の言葉によって見るようになるのです。

2:13 するとたちまち、おびただしい天の軍勢が現れ、御使と一緒になって神をさんびして言った、
2:14 「いと高きところでは、神に栄光があるように、地の上では、み心にかなう人々に平和があるように」。
おびただしい天の軍勢、これは神の玉座を囲む天使たちを意味しますけれども、旧約聖書においてはこの天使達と重ね合わせるように、天を飾る星達を指すことがあります。
ヨブ記(38:7)には、
「かの時には明けの星は相共に歌い、神の子たちはみな喜び呼ばわった。」という言葉が出てきます。
天を包む不思議な光の中で星々が神の御名をほめ讃える。神の造られた全地が、世界が神の御名を讃え出す、そのような状況を描いた言葉かも知れません。

そして今神は、貧しく、余地がなく、飼い葉桶という最も小さな場所に来られた幼子においてご自身の栄光を現されました。
そして神の栄光が現れる時、神と共に歩む人々に平和が訪れます。
平和とは、争いがないということではありません。共にあることを喜んで言葉を交わすことのできることを平和と呼ぶのです。
神は、わたしたちに平和を与えるため、礼拝においてご自身の栄光を、神が救いの神であることをいつも現してくださっています。ですから、礼拝の後、誰とも言葉を交わすことなく帰るのではなく、神のもとに共にあることを喜び、短い時間であっても神の平和を分かち合って頂きたい。
誰が平和をもたらすのか。おびただしい天の軍勢か。神の言葉は、ひとりの幼子、それも飼い葉桶に寝かされている子どもを指差します。誰が平和を行うのか。地上で無類の力を持つ皇帝か。否、貧しく小さな所に生まれた無力な幼子だと天使は語るのであります。

2:15 御使たちが彼らを離れて天に帰ったとき、羊飼たちは「さあ、ベツレヘムへ行って、主がお知らせ下さったその出来事を見てこようではないか」と、互に語り合った。
2:16 そして急いで行って、マリヤとヨセフ、また飼葉おけに寝かしてある幼な子を捜しあてた。
2:17 彼らに会った上で、この子について自分たちに告げ知らされた事を、人々に伝えた。
羊飼いたちは、神から与えられた宣教者の務めを果たしたのです。

2:18 人々はみな、羊飼たちが話してくれたことを聞いて、不思議に思った。
2:19 しかし、マリヤはこれらの事をことごとく心に留めて、思いめぐらしていた。
神の出来事が明らかに成し遂げられ、「あぁこの人こそが私たちの救い主だったのか」と気づくのは、イエスが十字架に死んで、そして復活されて、弟子達のところに来てくださってからであります。
ですから、私たちも今日聞いた言葉を心に留めて思いめぐらすことが大切です。
今すぐに、「あぁ、これか」と分からないかも知れない。見えないかも知れない。でも必ずそれが明らかになる時が、「あぁ神が私のために救い主をお遣わしくださった」、「神が私を救うために御業を成していてくださる」、そのことに気づく時が必ず来るのです。

2:20 羊飼たちは、見聞きしたことが何もかも自分たちに語られたとおりであったので、神をあがめ、またさんびしながら帰って行った。わたしたちも、日曜日毎に自分たちに語られる神の言葉が本当だと確認し、神を崇め、讃美しながら生きるために、神に招かれたのです。
神は救い主をお遣わしくださいました。あなたに、わたしに、すべての民に大きな喜びを与えるためにお遣わしくださいました。
この幼子において、神はご自身の栄光を現されました。神は、わたしたちを愛して止まない救いの神であることをこのイエスキリストにおいて現されました。
貧しく小さな所、余地のない所に来られた幼子によって、すべての民に神は平和をもたらされたのであります。
きょうはその誕生を祝う降誕節の礼拝です。羊飼い達と共に私たちも神を崇め讃美しながらこの教会から帰っていく、そして日々、神を崇め讃美しながら歩んでいくために教会は私たちをこの礼拝へと招いております。

讃美歌98
「あめには栄え み神にあれや、
 つちには安き人にあれや」と、
 みつかいたちの たたうる歌を
 ききてもろびと 共によろこび、
 今ぞうまれし 君をたたえよ。

Jesus Born On This Dayーマライアキャリー

今日 この地球に幼子は生まれた
今日 この地球に幼子は生まれた
今日 神の栄光は
世界中のあらゆる場所に輝く
この日に生まれたイエス様は
私たちの光 私たちの救い
この日に生まれたイエス様は
すべての国家の君主

見よ、イエス・キリストは訪れた
見よ、イエス・キリストは訪れた
見よ、救世主はこの世に生まれて
人々に彼の愛を歌う
この日に生まれたイエス様は
かいばおけの神聖な幼子
この日に生まれたイエス様は
私たちの君主 私たちの救世主