風と、光と・・・

すべての人を照らすまことの光があって、世にきた。(ヨハネによる福音書1:9)

3・11以降

為す術の無き苦しみよ暮かぬる

積もりたる瓦礫に春の雪降れり
神の御意いづこにありや斑雪

海と生く人の母御は春海に
三陸のリアスの牡蠣は海遠く

避難所に少年見つくつくしんぼ

遠きより見守るばかり遅桜
春陰の晴るることなき北の空
炉心融け子らの未来は遠霞

原発はいらない!空にはこいのぼり

新聞を見つめて嘆く五月闇
髪洗ふ被災の人々思ひつつ
髪洗ひても遠き惨状流されず
苦潮や 帰り来ぬ母探す子の

うしなひし人さがす人 海は夏

岩礁に牡蠣よ生きをれ抱かれて
漁師らの育てし森に夏来れ


塩害に強き花とふ イースター

塩地より光の色の黄水仙

暮かぬる(くれかぬる)=春の一日が永く遅々として暮れないことを表す季語。
斑雪(はだれゆき)=降ったあと少しの間まだらに残っている春の雪のこと。