風と、光と・・・

すべての人を照らすまことの光があって、世にきた。(ヨハネによる福音書1:9)

売っている水とジュース

ジーン・カーパー著『食事で治す本』に、コーヒーのカフェインがぜん息に良いように書かれているのだが、「ロンドンのハマースミス病院の研究者は、コーラも理由は不明だが年少者にぜん息の症状を引き起こすことを明らかにしている」とも書かれている。コーラにもカフェインが含まれているはずなのに変だなと思っていたところに、『スパイスなんでも小事典』に記された事柄を目にして、そういうことかと思ったのだった。

 コーラ飲料にもスパイスが使われています。コーラ飲料の香りを大きく分類すると、柑橘系の香りとスパイスの香り、そしてバニラの甘い香りに分けられます。さらに細かく見ていくと、柑橘系ではレモンやオレンジ、スパイスではシナモン、ナツメグクローブなどが使われます。これらがミックスされた香りで、さわやかにおいしく飲めるのです。(日本香辛料研究会編『スパイスなんでも小事典』)
コーラの場合は、この香辛料や香料にアレルギー反応を起こすのではないだろうか。
ここで書かれているレモンの香りは、レモン(Citrus limon)精油の中には少量しか含まれていないシトラールによる。レモン精油に含まれているのは、90%以上がd-リモネンをはじめとするテルペン系炭化水素だそうだが、レモンらしい香りを発しているのはシトラールと呼ばれるアルデヒドの仲間なのだ。レモングラス(Cymbopogon citratus)精油には、このシトラールが70%前後含まれている。
香料として飲み物に含まれているのは、化学的に合成されたものだろう。亀岡弘著『エッセンシャルオイルの科学ー精油の正しい知識と理解を深めるためにー』には、「レモン油の主香成分であるシトラールはpH4以下で耐熱、耐光性が弱いためオフフレーバーの原因になります」と記されている。オフフレーバーとは、成分の劣化による変質臭を指すようである。こういったものがアレルゲンとしてぜん息発作を引き起こすのではないかと思うのだが、今回、果汁100%のジュースを色々見てみたところ、ほとんどのジュースに「香料」と記載されていたので、とても驚いた。


水もまた、今の時代は色々売られている。ミネラルウォーターというと体に良いように思われがちだが、これは、私は、要注意商品だと考えている。
どこそこの海洋深層水とか綺麗な湧水とかミネラルウォーターと表示していながらミネラルの含有量を記載していないものも中にはあるが、記載しているものの中にも問題だと思えるものが結構多い。
ミネラルというのは沢山摂れば良いというものではない。カルシウムを、あるいはカリウムを多く摂れば摂るほど体に良いわけではないのである。それぞれのミネラルのバランスというものを考えなくてはいけない。けれど、そういった商品はそんなことは考えられないまま売られているのである。

先日、大きな本屋に行くために一泊止まりで都会へ出てホテルに泊まった。そのホテルに、サービスのミネラルウォーターが置いてあった。含有量を見ると、圧倒的にカルシウムが多い。ナトリウムとカリウムのバランスも取れていなかったと思うが、マグネシウムがとても少なかった。
慣れないベッドで寝たせいか朝起きて腰が痛かったので、本屋巡りをするのにまずいと思い、ドライヤーで腰を温めてから、持参のマグネシウムサプリメントをそのミネラルウォーターで飲んだのだが、ミネラルバランスも考えないで、ペットボトル1本分この水を飲んでは却って体に悪いだろうと思ったのだった。

ナトリウムは高血圧の目の敵にされがちだが、ナトリウムとカリウムのバランスも逆転すると怖ろしいことになる。
ナトリウムは、「カルシウムなどの細胞膜浸透に関与してブドウ糖などの腸管吸収をもたらす」、「筋肉、神経の興奮性を和らげる」、「体液のバランスを維持し弱アルカリ性に保つ」(『栄養医学ガイドブック』)などの働きをしている。
最近目にするジュースの中に、果汁と共にカリウムなどのミネラルを入れて売っているものがあるが、これなども要注意だと思われる。


参考書籍:ジーン・カーパー=著『食事で治す本』(ハルキ文庫)
     柏崎良子=著『栄養医学ガイドブック』(学習研究社
     日本香辛料研究会=編『スパイスなんでも小事典』(講談社
     亀岡弘=著『エッセンシャルオイルの科学』(フレグランスジャーナル社)

関連過去記事
  ↓
http://d.hatena.ne.jp/myrtus77/20131011/p1
http://d.hatena.ne.jp/myrtus77/20140623/p1