風と、光と・・・

すべての人を照らすまことの光があって、世にきた。(ヨハネによる福音書1:9)

「El Camino(エル・カミーノ) 僕が歩いた1600km」芳賀言太郎のエッセイ第22回


 真夜二時に風に変わった ありふれた言葉巻き上げ吹き来る夢に
天上のどこにこれだけの水量が蓄えられているのかと思えるほど降っていた雨が凄まじい風に変わって目が覚めた。塔の部分を取り壊したホワイトチャペルの一角に足場が組まれていて、それが崩れ落ちるのではないかと気が気でない。けれど、前の晩も一時過ぎに目が覚めて四時近くまで眠れなかったので、夢うつつの中で風の音と風によって起こる金属音を聞きながら、こんな短歌擬きを頭の中で繰り返していた。

「El Camino(エル・カミーノ) 僕が歩いた1600km」第22話 ガウディになる前のガウディ 〜カサ・ボティネス〜
パリ〜ルーベは人生である。
(中略)
 人生ではうまくいかないことの方が多い。それと同じである。全てが順調などということは決してないのだ。その中で、向かい風でもぬかるみでも、たとえどんなに理不尽なことが起こっても、それでもなおゴールを目指し、どこまでも一位を目指す。勝者には栄光がある。しかし、表彰台の一番高い場所に乗る選手だけが勝者ではない。「パリ〜ルーベ」は、完走者であるということだけで敬意が払われる。優勝が勝利ではなく、完走が勝利なのである。地獄を走りきった人全てが勝者なのだ。

 レオンにはアントニ・ガウディが残した建築がある。ガウディの作品をマッピングした地図で、アストルガ司教館とともにいわば飛び地をなしているのがこのカサ・ボティネスである。生粋のカタルーニャ人であったガウディがなぜこのアストゥリアス地方で設計活動を行ったのかといえば、…。…。外壁には地元の花崗岩を使用している。不揃いな大きさの石をランダムに使い、バランスをとりながらも時に荒々しいこの灰色のファサードには素材の力を感じる。

(写真、カサ・ボティネス 外観)

 とはいえその中身は地上5階地下1階の事務兼住宅、つまりマンションである。マンション建築は典型的な都市建築である。土地に限りがある中で人口が増加すれば、都市は上に向かって伸びていく。それは古今東西共通である。(この部分興味深い内容ですが省略します。リンク先で直接お読み下さい。)
 …。これがゆくゆくは…、そしてついにはニューヨークのツインタワーにまで行き着くのだろうが、ガウディは「自然に直線はない」と、つるつるぴかぴかのユニバーサルスタイルに背を向けるようにして独自の道を歩むことになる。だからこの経済合理主義に基づく近代建築に片足を突っ込んだ感のあるボティネス邸には、まるでガウディを感じない。何も知らない状況でこの建築を誰が設計したか当ててみろと言われてもガウディとは答えられないだろう。これはガウディがガウディになる前の建築と言える。…。これはガウディが時代の要請に合わせた建築と言えるかもしれない。

(写真1枚)

 コルビュジエは近代建築の五原則を提げてサヴォア邸を完成させた。しかしそれを越えてロンシャンの教会を生み出した。この時代のガウディには、…。…。しかし、ガウディは、そこに見て取れる効率化・平準化・規格化といった近代合理主義(功利主義)と決別してガウディとなる。
 逆説的ではあるが、サヴォア邸があったからこそロンシャンの教会が生まれたと言えると仮定するならば、カサ・ボティネスがあったからこそサグラダ・ファミリアが生まれたと言えることになるであろう。様式からの脱却、それがコルビュジエとガウディという2人の巨匠の共通項なのかもしれない。(抜粋引用)


コラム「僕の愛用品」の22回目は、サングラス
ZEROrh+ Metheo ゼロアールエイチプラス メテオ ダークブルー 22,890円

 スペインの日差しは強い。そのため巡礼においてサングラスは必需品である。私は巡礼ではadidasのサングラスを使用した。これはこれで問題なかったのであるが昨年の夏、イスラエルの旅行中に真ん中から真っ二つに割れてしまった。肩掛けポーチにそのまま入れておいたらいつのまにかそうなっていたのである。もちろんadidasが悪いのではない。どう考えても私の不注意であったのだが、結果としては壊れてしまったのである。(サングラスにはケースが付属している。面倒くさがらずにきちんとしまおう)
 ブランド名のZEROrh+は、zero(ゼロ)= アルファベットのO(オー)にrh+(アールエイチプラス)つまり血液型のO型rh+を意味している。言うまでもなくO型の血液は特殊な型でありO型以外の血液型(A.B.AB)を含む全ての血液型の人に輸血することができる。(実際には戦争とか大規模災害といった非常事態以外では行われることはない)。年齢・性別・ジャンル・シーンを特定することなく全ての人々にあらゆる場面で使ってもらいたいという想いが込められている。

(大きく、中略)

‘In you, not on you’
 この言葉にZEROrh+の理想を見て取れる。かけるのではなく、顔と一体になるのだと。(抜粋引用)