風と、光と・・・

すべての人を照らすまことの光があって、世にきた。(ヨハネによる福音書1:9)

映画『ホビット』

去年、「しあわせな大詰めを求めて」というサブタイトルにひかれて猪熊葉子さんの『児童文学最終講義』を読み、「幸せな大詰め」というのがトールキンの造語だということを知ったのだった。
それで、指輪物語ホビットの冒険も読んだことがなかった私は、今回、映画だけでも見ておこうと思い、見に行った。
ところが、映画の中に、王子の頃に樫(オーク)の枝を盾として戦ったことから「オーケンシールド」と呼ばれるという王が出てきたので、これは原作を読まねばと思ってしまったのだった。なにしろ、樫の枝の盾だし!
読まなくちゃと思う本がいっぱいあって、しかも私は読むのがとっても遅くてホントに大変!

猪熊葉子さんの『児童文学最終講義』から、トールキンの造語について書いた部分をもう一度引用しよう。

なぜなら、妖精物語の「幸せな大詰め」は、「最終的な敗北が蔓延することを否定し」「この世界を取り囲む壁のむこうに存在するあの『喜び』、・・『喜び』を感じさせるもの」であるからです。先生は、空想の国の建設を通じて、悲劇や不条理を人生の本質であると考える近・現代の悲観主義に真っ向から反対しておられたのでした。こういう先生の思想は、ハッピー・エンドの物語をむさぼり読んだ子ども時代の私はまちがっていなかったのだ、と再認識させてくださったのでした。(『児童文学最終講義』(すえもりブックス)より)