若竹煮という伝統的な日本料理がある。若布と筍を炊き合わせたものだ。
タケノコにはチロシンというアミノ酸の一種が含まれている。ワカメには原発事故でクローズアップされたヨウ素(別名ヨード)というミネラルが多い。チロシンもヨウ素も甲状腺ホルモンのトリヨードサイロキシンやチロキシンを作る材料だ。甲状腺ホルモンは主に代謝に関わっているホルモンのようだが、冬の間に溜まったものを代謝するという観点から見ると、春が旬の若布と筍を取り合わせて煮物にして戴くというのは真に理に適っていると思う。もう一つ、タケノコに多いシュウ酸などのエグミをワカメのカルシウムが中和してくれるという利点もあるようだ。だから、昔からタケノコにはワカメを組み合わせてきたのだろう。昔の人の知恵はすごいなぁと思う。
私の夫は甲状腺機能亢進症となって、医師からヨウ素の多い海草類は摂らないようにと言われた。それから十年ほど海草類を一切摂らないでいたら、今度は尿管結石になってしまった。そしてその時は医師からアルカリ性食品をたくさん摂るように指導された。そのアルカリ食品の筆頭にあげられるのが海草類だ。そして、そうこうしているうちに夫の甲状腺は低下症になってしまっていたのだった。
甲状腺機能が亢進して痩せ細っていく時はこういったものはちょっと控えた方が良いかも知れない。が、それもほどほどにして、何でも少しずつ満遍なく摂るのが良いように思う。
昨年の水害のせいか今年は八百屋の友人の店に地の筍がなかなか入って来ない。しかたなく近くのスーパーで買った中国産の筍を使って・・。
盛りつけに自信がないので写真は小さく。
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参考図書:『栄養学と食のきほん事典』井上正子=監修
(西東社)
『からだに効く栄養成分バイブル』中村丁次=監修
(主婦と生活社)
『からだの四季と野菜の四季旬を食べる』藤井平司=著
(農文協)