風と、光と・・・

すべての人を照らすまことの光があって、世にきた。(ヨハネによる福音書1:9)

アセチルコリンは酸素消費を抑える嫌気的代謝へと転換させる?ー『心臓の力』より

『心臓の力』184頁には、「その著しく増加したアセチルコリン産生によって、心筋細胞のエネルギー基質嗜好性が相対的に、一部が脂肪酸からグルコースへとシフトした。それは、この心筋細胞の代謝が若干、酸素を消費する好気的代謝から、酸素消費を抑える嫌気的代謝へと、(相対的にではあるが)エネルギー産生様式を転換させたことを意味している」と記されている。
これは、つまり、酸素を使ってエネルギー産生をするミトコンドリアが多く存在する心臓において、酸素をあまり使わないで解糖によってエネルギーを産生する方向へと向かわせることにアセチルコリンが関わっているということである。
「酸素をつかってエネルギーを作るために活性酸素の90%がミトコンドリアでつくられる」(『安保徹のやさしい解体新書』)ということであった。だからミトコンドリア活性酸素を除去する酵素をつくる能力も持っているというのである。しかし、その活性酸素を除去する酵素をつくるための原料となる栄養素が不足すればどうなるだろうか?

『心臓の力』には、神経細胞においては、アセチルコリンはCHT1などのコリントランスポーター(輸送体)を介して細胞内に取り込まれたコリンと、ミトコンドリアから出されるアセチルCoAという二つの化学物質をもとに、アセチルコリン合成酵素ChAT(コリンアセチルトランスフェラーゼ)によって合成されることがわかっている。産生されたアセチルコリンは…。放出後は神経細胞であればニコチン受容体に、心筋細胞ならばおもにムスカリン受容体にキャッチされる…」と記されている。

また、川端輝江=編著『しっかり学べる!栄養学』の第6章「ビタミンの栄養」では、アセチルCoAがつくられる過程に関わるビタミン類が図によって示されている。以下に写真で掲載する。

『心臓の力』では、神経細胞でのアセチルコリン受容体はニコチン酸であると書かれていたのだが、この図を見ると、アセチルコリンを産生するアセチルCoAがつくられる過程でもナイアシンニコチン酸)が大きく関わっていることが解る。

今年一月にナイアシンの多いものを沢山食べさせていたために夫がアレルギー性の喘息を引き起こした、と考えていた。また、入院前後で血糖値が高いということがわかった時にも、インスリン受容体を形成する亜鉛が不足している状態でインスリン分泌を促進するナイアシンの多い物を食べさせていたからこういう状態になったのだ、と思った。そして、ここに至って、またしてもナイアシンなのである。
しかしナイアシンの多い物を摂らせていたために、アセチルコリンが産生され夫の心臓が守られたのではないか、とも考えられる。

安保徹の免疫力を高める食べ方』(中経の文庫)に、ミトコンドリアは行きすぎると突然死を招く」と書かれた頁がある。写真で掲載する。

ナイアシンの多い物を摂ってアセチルコリンが増えたために、「酸素を消費する好気的代謝から、酸素消費を抑える嫌気的代謝へとエネルギー産生様式を転換させた」のだ。それによって熱生産を僅かに抑え、心臓の働きを抑制したのだ。

一方で、嫌気的代謝へとエネルギー産生様式を転換させることで、活性酸素がつくられるのを抑えることができる。
生田哲=著『心の病は食事で治す』には、マンガンは記憶にかかわる伝達物質のアセチルコリンの生産にも欠かせない」と記されている。ナイアシンが体内に豊富にあり、活性酸素除去酵素をつくる原料となる栄養素(マンガン)が限られている状況においては、活性酸素を多量に生産して除去するより、アセチルコリン生産の方に力を入れる方が効率的ではないだろうか?摂取した栄養素によって、体は生存のために最も適した働きを選び取り、そのように動いているのだと思わされる。


ところで、酸素消費を抑えていたせいか、入院前の夫は全く鼾をかかなくなっていた。それで私は、「生きているのだろうか?」と思って、一晩中隣の部屋に耳を澄まして眠れないでいたのである。心臓の働きを抑制して体を守ったのだと思うが、あのままで良かったとは到底思えない。
そこで、この後は、大正製薬タウリン散」との関連で考えをまとめていきたい、と思っている。

そして、やはり「ナイアシン」である。腎不全との関連で「ナイアシン」についても改めてまとめる予定でいる。