風と、光と・・・

すべての人を照らすまことの光があって、世にきた。(ヨハネによる福音書1:9)

肯定する音、促す音

さつまいもの茎の皮をむいていて、教員をしていた頃のことを思い起こした。

教員時代のほとんどを私は、重い障害を持つ子どもと一緒に過ごした。
ある一人の子どもの課題は、目と手の協応動作を高めることだった。その子どもが、いくつかの教具の中でも特に好んでいたものがある。紐通しという教具だ。キューブ状の木で出来たものを紐に通していくという作業をするためのものなのだが、その子は他のどんな教具よりこの教具を好んだ。音がするのだ。キューブを紐に通す度にカチっと心地よい音がするのである。
他の音がしないものの場合も、私は、子どもが一つの動作をする度に、「そう」、「はい」、「いいよ」、「上手」などと言葉かけをしていたが、まだ言葉を話さない子どもにとっては私の声より木と木が触れ合う音の方が心地よかったのだろう。
その音は、子どもの作業を承認し、肯定し、励まし、次の同じ作業へと促していたのである。

さつまいもの茎をポキッと折って皮をむいていく。単調な同じ作業を繰り返しながら、この音がするから楽しく続けられる、そう思った。