風と、光と・・・

すべての人を照らすまことの光があって、世にきた。(ヨハネによる福音書1:9)

パントテン酸についての覚え書き

パントテン酸は、補酵素であるコエンザイムA(CoA、補酵素A)の成分としてアセチル基およびアシル基の転移反応に関与する。…。
コエンザイムAは、体内でアセチルCoAやアシルCoAとして存在している。アセチルCoAは、解糖系で生じたピルビン酸のアセチル基を、クエン酸回路や、脂肪酸およびコレステロールの生合成経路に渡す役目を持つ。アシルCoAは、脂肪酸がエネルギーになる際に脂肪酸を運搬する。…。
(中略)
動物性および植物性食品中に含まれるパントテン酸は、補酵素型、あるいは酵素たんぱく質と結合したホスホパンテテインとして存在している。酸性、アルカリ性、熱には不安定であり、加熱調理や胃酸によって消化され、パントテン酸として吸収される。(川端輝江=編著『しっかり学べる!栄養学』より)

だから、成分表を見ると、生より焼いた物の方がパントテン酸の含有量が増えているんだ。だけど、古い栄養素の本などでは、「熱に弱い」と記されていたりするので、加熱調理によって栄養素が壊れるんだと思い込んでいた。

パントテン酸は糖質代謝や脂質代謝などのエネルギー生成において重要な栄養素である。他のビタミンB群と一緒に働いている。
中村丁次=監修『栄養成分バイブル』「ストレスが生じると、副腎は、副腎皮質ホルモンをつくって血糖値を上げ、エネルギーを増大させて、ストレスに臨む体制をととのえます。この副腎のはたらきを強化し、副腎皮質ホルモンの産出を促すのがパントテン酸です」と記されている。
副腎皮質ホルモンの原料となるコレステロールはアセチルCoAから合成される。パントテン酸は、このアセチルCoAの大元となるコエンザイムA(CoA)の成分として副腎皮質ホルモンの合成に関与していると言える。上の引用で、「アセチルCoAは、解糖系で生じたピルビン酸のアセチル基を、…コレステロールの生合成経路に渡す役目を持つ」と書かれた部分がこれに当たる。副腎皮質ホルモンを放出するために副腎髄質からアドレナリンが分泌される。これによって、グリコーゲンの分解が促進されて血糖値が上がる。
さらにパントテン酸がエネルギー生成の全過程クエン酸回路、脂肪酸の生合成、脂肪酸がエネルギーになる際)に関与しているために、血糖の上昇、低下に影響していると考えられる。ストレス時に、パントテン酸が副腎皮質ホルモン生成に大量に使われるなら、血糖が上がり、筋肉中の糖質が不足してエネルギー生成に支障を来すということも起こりうる、と考えられる。

複数の書籍で、「不足すると血圧が低下する」と記されている。しかし、この記述からは「血圧低下」が良いことのようには受け取れない。このことは、エネルギー生成に支障を来し、血流も維持できないということに繫がるように思う。
また、長期的にパントテン酸が不足することによって、一時的に低くなった血圧が次第に上がっていくということが考えられるのではないだろうか。ストレスに対抗するためには血圧を上げなければならないだろう。パントテン酸はストレスに対抗するために血圧を上げる働きもしているはずである。ストレスによって栄養素が消耗されると、血圧を上げる働きもできなくなると言える。そのような期間が長く続くと、恒常性を保つために、今度は体は次第に血圧を上げるように働き始めると考えられる。その時には病的な高さの血圧となる。

パントテン酸はストレスやアルコール、カフェインによって消費される。

また、パントテン酸がアセチル基の転移反応に関与しているということは、アセチルコリンの合成にも関与していると言える。