風と、光と・・・

すべての人を照らすまことの光があって、世にきた。(ヨハネによる福音書1:9)

亜鉛を駄目にする薬がある(抗甲状腺剤、利尿剤、痛風治療薬など)ー亜鉛不足と胎児の奇形

順天堂大学大学院医学研究科から出ている亜鉛栄養治療5巻2号2015『糖尿病における亜鉛の役割』の中に、味覚障害を起こす可能性のある薬剤の例」として、亜鉛をキレートして尿中排泄を亢進させる薬の一覧が載っていた。
https://kenkyuukai.m3.com/journal/FilePreview_Journal.asp?path=sys%5Cjournal%5C20150629113114-9C86698AFA989ABE356F3F0561CCCC84E397EECF2284E019.pdf&sid=738&id=1871&sub_id=33653&cid=471

利尿剤(フロセミド):これは今回入院して体内に溜まった水分をとるための薬である。

甲状腺剤(メルカゾール):これは、甲状腺機能亢進の時にずっと飲んでいた薬である。これを飲み続けたために亜鉛が排出され、甲状腺ホルモンを造る材料が枯渇して低下症に移行したと考えられる。低下症にかわる前には仕事上で大変なストレスを受けていた。体内の亜鉛量が減っていた上にストレスで激減したために低下症に移行したものと思われる。

痛風治療薬(ザイロリック:これは、こちらに来てから甲状腺機能低下症で通っていた病院で出されて飲んでいたものである。亜鉛が枯渇して低下症になっているにも関わらず、亜鉛を排出する薬を飲まされていたと言える。


● 甲状腺機能異常症
抗TSH受容体抗体が陽性であればごく一部の例外を除いてバセドウ病である。…。アルカリホスファターゼ値の高いことが多い。

アルカリホスファターゼというのは、リン酸化合物を加水分解する酵素であり、亜鉛含有酵素である(川端輝江=著『しっかり学べる!栄養学』
「インスリンは血液中のナトリウム濃度を上げカリウム濃度を下げる」で触れたように、亜鉛チロシンホスファターゼの活性阻害にも働いている。
ホスファターゼというのは、リンに関わる酵素ということである。(リン=ホスホ)
リンは体内のpH調整に関わっている。これに関連して亜鉛の働きが体内のpHを左右するのではないかと今のところ私は考えている。
ウィキペディアによると、アルカリホスファターゼというのは、「アルカリ性条件下でリン酸エステル化合物を加水分解する酵素である」と書かれている。亜鉛アルカリ性の体内で働くミネラルなのではないかと思われる。(追記:リン酸化合物というと尿管結石のもとであるリン酸カルシウムがあった。やはり、アルカリ性の体内で亜鉛はこのリン酸カルシウムなどのリン酸化合物を溶かすんだ!やはり亜鉛アルカリ性の体内で高い値で存在していると考えられる。)

『目でみるからだのメカニズム』には、アルカリ性に傾いたときに発症してくる病気の中に甲状腺機能亢進症が入っている。甲状腺機能が亢進した体内では亜鉛が高値で存在しているのではないだろうか。その亜鉛が、抗甲状腺剤によって排泄されることで亜鉛量が低下し、それが極に達した時に体内が酸性に傾き、酸性状態で発症する病気が起きてくるのではないだろうか。すなわち、糖尿病、腎不全などが。


● 産婦人科診療ガイドラインー産科編2014甲状腺機能亢進症の管理(抗甲状腺薬)
甲状腺薬使用が主体となる.抗甲状腺薬にはチアマゾール(別名 methimazole;MMI)とプロピルチオウラシル(PTU)があるが,妊娠中にどちらを用いるべきかについて議論がなされている.2002年の ACOG のガイドラインでは,両剤のいずれも妊婦の甲状腺機能亢進症の治療に使用可能との立場をとっている6).一般的な先天奇形の頻度や児の知的発達は,妊娠中に PTU ないし MMI を内服した場合と健常妊娠女性とで差はないとされる.ただし,ある種の児形態異常(後鼻孔閉鎖症,気管食道瘻,食道閉鎖症,臍腸管遺残,臍帯ヘルニア,頭皮欠損など)は胎芽期での MMI 曝露との関連が疑われている8)〜10).現在日本で進められている前向き研究(POEM Study)中間報告では,MMI 群での関連形態異常発生頻度上昇が示唆された11).日本甲状腺学会は現時点では催奇形性の観点から妊娠初期,少なくとも妊娠 4〜7 週は MMI を使用しないほうが無難である,妊娠を計画的にするように勧め,MMI は催奇形性の有無の結論が出ていないこと,PTU は効果と副作用(肝障害,抗好中球細胞質抗体 ANCA 関連血管炎症候群など)の点で MMI より劣ることを説明し,どちらの薬剤を選択するかは患者の意向を踏まえて決めるとしている7).北米内分泌学会の国際ガイドラインは,器官形成期は可能なら PTU を第一選択として用いることを推奨しているが,一方で,PTU が入手できない場合,何らかの理由で内服困難な場合,PTU に副作用を示す場合には MMI を処方してよい,と述べている

メルカゾールの亜鉛排出によって亜鉛不足となり、「ある種の児形態異常」が発生する可能性があるようである。「中間報告では,MMI 群での関連形態異常発生頻度上昇が示唆された」と記されている。亜鉛不足は胎児の奇形にも関連する。
亜鉛の機能と健康』では、妊娠時の亜鉛不足での催奇形性の影響が示唆されている。以下、写真で掲載。