風と、光と・・・

すべての人を照らすまことの光があって、世にきた。(ヨハネによる福音書1:9)

小保方晴子=著『あの日』(講談社)のレビューより


● STAP現象の確認に成功、独有力大学が…責任逃れした理研と早稲田大学の責任、問われる
 今年3月10日、ドイツの名門大学、ハイデルベルク大学の研究グループがSTAP関連の論文を発表した。
(中略)
 一番の発見は、このような瀕死のストレス条件では、Acute T-cell leukemia(ヒト急性T細胞白血病)の細胞株である JurkatT細胞が、万能性を獲得するか、もしくは死ぬかの間で揺らいでいることである。何がそれを左右するのかを探るのが今後の課題だ>
(中略)
 今回の論文で多能性を確認したAP染色陽性細胞は、小保方氏らのSTAP論文でも発現が確認されている多能性マーカーのひとつである。細胞が酸性ストレスによって多能性を示すという反応は、まさに小保方氏が発見したSTAP現象そのものだ。

 世界的に活躍する国際ジャーナリストで、自身もニューヨーク医科大学基礎医学を学び医療問題に関するリポートも多い大野和基氏は、同論文を次のように評価している。
「STAP現象の論文は撤回されたが、少なくともがん細胞の分野ではまだまだ研究の価値がある、ということだ。細胞の多能性に対する酸性 pH の効果は、がん生物学(がん幹細胞も含む)の分野では、注目されるトピックであり、STAP細胞が、がん細胞ではできた可能性があることを、このハイデルベルク大学の論文は示している。…。」

 がん細胞の一種であるJurkatT細胞に対して、小保方氏が行った方法ではうまくいかなかった理由について、ある生物学の専門家は次のように分かりやすく説明してくれた。
「細胞の種類によってストレス反応に違いがあることも一因と考えられます。小保方氏はがん細胞以外の細胞を使っていたため、ストレスをかけるpHの違いが出ても不思議ではありません。
 また、培養系の実験では、緩衝材の違いはもちろん、…、シャーレのメーカーによっても結果に違いが出ることがあるほどです。それほど微妙な調整が必要な世界であり、プロトコル(手順)通りにやっても同じ結果が得られないことは普通です。…。」(抜粋引用)

● 真実を明らかにしていく価値ある本です。小保方晴子=著『あの日』のAmazonレビューより)
 私は免疫病理学を専門にしてきましたが、身体の恒常性を死ぬまで保つためにはまだ明らかにはなっていないかもしれないけれど、細胞の幼若化や脱分化の機序があるはずだと信じています。発がんはその悪しき病理学的例ですが、生理的なレベルでもそういった仕組みが存在するからこそ、がん化が起こりうるのだと思います。
 研究に対する問題提起や批判は構いませんが、研究者生命や社会的存在まで根こそぎ奪い去ったうえで、更にES細胞盗難との関連で犯罪者的なレッテルを貼ろうとするなど科学研究に対する侮辱行為が目に余りました。一般の方は科学的情報をマスコミを介してのみ知ることがすでにわかっておりますが、そのシステムを悪用した研究の芽を潰す行為は許されません。
 Amazonでも購入できる「21世紀の知を読みとく ノーベル賞の科学 【生理学医学賞編】」をお読み下さい。
1983年にオーストラリアのロビン・ウォレンとバリー・マーシャルにより発見されたピロリ菌が、胃がんの原因になることを明らかにしたことで、2005年にノーベル生理学・医学賞を受賞ことを学びましょう。当初はだれも信用しなかったのです。
(ペンタネコさんのレビューより抜粋引用)


以下、小保方晴子=著『あの日』(講談社より抜粋引用。


 私の実験系では、ストレス処理後の細胞に待ち受けるのは、細胞死か細胞塊形成だった。この分岐点を左右しているのは、ストレス処理後の、細胞膜の修復の速さにあると考えていた。「細胞膜修復」というキーワードで文献を見ていると、いくつかの因子にたどり着いた。(『あの日』p83~)

 …。…、新生児のマウスを細胞塊の作製に使用するようになってから、私の実験で観察されるOct4陽性の細胞塊の頻度が何倍にも上がってきた。赤ちゃんマウスの体細胞のほうが大人のマウスの体細胞よりもストレス処理後に変化しやすいというこの実験結果は、老化に伴って細胞の柔軟性が変化することを示していた。並行して行っていた生体内での実験で、損傷部位にOct4陽性細胞が現れるという結果は、若齢のほうが組織修復力が高いという経験的にも知られた周知の事実と深い関係があるかもしれない。もし生体内でも若齢のほうが損傷部位に現れるOct4陽性細胞の数が多いとしたら、この現象が組織の維持・修復にかかわり、生命維持に重要な役割を担っているのではないか。分化した体細胞の運命決定は不可逆的であると考えられていたが、これまで考えられているよりずっと柔軟に細胞の運命は変化しうるのではないか。分化した細胞の柔軟性と幹細胞には深い関連があるのではないか。そう考えると…。(『あの日』p88~)

 私が許されていた検証実験は、マウスから細胞を取り出し、STAP細胞塊を作製するところまでだった。作製されたSTAP細胞塊が多能性遺伝子を発現しているかなどの解析は第三者によって行われ、自分で解析することが許されていなかった。STAP細胞は変化しやすい細胞で、解析を迅速に行う必要があったが、解析のために細胞は別の場所に運ばれ、第三者によって行われ、即時に結果を見ることができなかった。実際にどのように解析されているのかさえ、知ることができなかった。
 マウスから採取される細胞は、生き物であるため、状態には若干のバラつきがあり、少しの処理の違いによってストレスへの応答が異なる場合がある。毎回の実験結果を自分で解析し、即時に結果を見ることができていたら、たとえばストレスが少し弱かったと考えられたら次の実験ではストレスを与える時間を少しだけ延ばすなどの、毎回採取される細胞の状態や数に応じた細かな工夫をすることができただろう。しかし、実際には、ただただ朦朧とした意識の中で、毎日同じ作業の繰り返ししかできなかった。毎回の実験を次の実験に生かすことができなかった。…。
 検証実験の終盤に差しかかった頃、もう意識さえ保っていられなくなっていた私に自分でも解析の一部が許可された。もちろん監視カメラと立会人による監視下でだ。
(『あの日』p225~)

以下は、亜鉛の機能と健康ー新たにわかった多彩な機能ー』、神戸大朋=文「終章 今後の展望」より抜粋引用。

 亜鉛の生理機能は多彩であるため、亜鉛研究を細分化されたひとつの研究領域に限定して議論することはできない。むしろ、今後は各研究領域を横断的に捉えて理解を深めることが、これまで予想されていなかった新しい亜鉛の機能の発見に、さらにそれに続く応用展開に必要となってくる。実際、生体内の亜鉛には、細分化された研究では解決することが難しい多くの未解明の謎が残されている。…、また、亜鉛レベルに応じたエピジェネティックな遺伝子発現変化による生体への影響などについては、ほとんど手つかずの状態である。さらに、亜鉛研究のさらなる進展には、研究領域の融合だけでなく、古い知見と新しい知見を有機的に融合させることも重要であろう。(『亜鉛の機能と健康ー新たにわかった多彩な機能ー』日本栄養・食糧学会=監修(建帛社)より抜粋引用)