風と、光と・・・

すべての人を照らすまことの光があって、世にきた。(ヨハネによる福音書1:9)

「藪からし」という自然と、梨木香歩=作『裏庭』からマーサの言葉


裏を見よう!

自然ではなく、被造物 

ヤブカラシが花を咲かせようとしている。この花、決して嫌いじゃないのだけれど、昨年はこの花にスズメバチが群がっていたのでこのままにしておくと今年もスズメバチが押し寄せかねない。昨年のように家の中にまでスズメバチに入って来られたのでは堪らないから、今のうちに苅り取ることにした。


「・・。私はね、レイチェル、この歳まで庭にかかわってきましたがね、結局私の目指しているものは、理想的な混沌、とでも呼ぶべきものだということがわかってきましたよ。自然のままに、まったく手を加えないっていうんじゃないですよ。そうすると庭は必ず『荒れる』んです。そりゃ、ひどいもんです。悪くすると敵意に満ち溢れた場所になります。大概の場合、そうなります。なぜだかわかりませんがね。自然の中には神の御心にそぐわないものが働いているとしか思えませんね」
「よくわからないけどね、マーサ。私には家の庭はいつも居心地がよかった。・・。家の庭は、荒れ放題というわけでもないが、計算され尽くした、というのでもないね、確かに。何か秘訣があるのかい?」
                    ・
「それはね、レイチェル、眺めるってことなんです。・・」(梨木香歩=作『裏庭』(新潮文庫)より)