乗り物に弱いので、子どもの頃から旅行というものがほとんど好きになれなかった。
毎日たらたらと同じ暮らしを繰り返しながら、住み慣れた家の中で過ごすのが好きだ。
やむを得ず出かけなくてはならない時は、酔い止めの薬を飲んで電車に乗る。
ミントの精油をブレンドしたトリートメントオイルを胸部に塗布して他人の吐き気を止めたことが二度ほどあるが、自分には使わない。市販の薬を買って飲む。アロマの力を信用していない証拠だ(笑)。
「春は大気がぼんやりしているので富士山は見えないだろう」と勝手に決めていたのだが、行きも帰りも見ることが出来た。行きの方が、山裾の辺りが濃く翳っていて山肌から空へと続く淡いブルーとのコントラストが美しいと思ったが、カメラを荷物の奥深くに仕舞い込んでいて撮ることが出来なかった。
今回の旅の一番の収穫は名古屋の大きな書店で買った二冊の本。
一冊は、15日に出たばかりの『放射能に抗うー福島の農業再生に懸ける男たち』奥野修司=著(講談社文庫)。
もう一冊は、このところfumi’s俳句日記で紹介されていた102歳になられる俳人金原まさ子さんの第四句集『カルナヴァル』(草思社)だ。中から今の季節にぴったりの一句を。
春帽子買いにふらりと往ったきり 金原まさ子
帰ってきて、月曜の新聞の一面を見て大いに怪しんだ。毎日新聞が実施した全国世論調査によると「TPP交渉賛成63%」と書いてある。私は調査されてない!(笑)。