風と、光と・・・

すべての人を照らすまことの光があって、世にきた。(ヨハネによる福音書1:9)

春の夢ー加納朋子=作『掌の中の小鳥』より

(て)に君の鼓動乗せたる春の夢






「手の中に一羽の小鳥を隠し持っていて、賢者にこう言うんだ。『手の中の小鳥は生きているか、死んでいるか?』って。もし賢者が『生きている』と答えれば、子供は小鳥を握り潰す。『死んでいる』と答えれば、小鳥は次の瞬間には空高く舞い上がるってわけさ」
「生きている小鳥を握り潰すなんて、ひどいじゃないの」
憤慨して叫んだ。相手は軽く笑い、
「人間なら、もっとひどいことだってできるさ。けどまあ、その問題は別な機会に譲るとして、君のことに話を戻そう。君とおばあさんとでやったゲームには、実はトリックがあったんだよ」
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つまらない偶然なんかでは、決してなかったのだ。祖母の人生で培われた知恵と、機転と、そして溢れるような私への愛情。
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ー手の中の小鳥は生きている? それとも死んでいる?
ふいに頭の中で、紗英の声がそう言った。

            (『掌の中の小鳥』加納朋子=作(創元推理文庫)より)




もう一つは昨年のバレンタインデーに作られた芙美さんの俳句に影響されて
    ↓
http://d.hatena.ne.jp/alzira/20120214