風と、光と・・・

すべての人を照らすまことの光があって、世にきた。(ヨハネによる福音書1:9)

ラベンダーとローズマリー

ハーブというと昔は何もかもプロヴァンス地方のものと思っていたのだが、実際に紀州の地と札幌の地で栽培してみて、(考えてみれば当たり前なのだが)ハーブによって適地は全く異なるのだと分かった。

軒が深くて雨のかからない場所に植えたフレンチラベンダーは今年もたくさん花を咲かせたが、イングリッシュ系のラベンダーは、ここ紀州では夏の湿気で駄目になりやすい。札幌では毎年、中央分離帯や街のそこここでイングリッシュラベンダーを目にしたが・・。札幌でローズマリーの苗を買ったところ、外で越冬できないということで室内に入れたが、温度管理がなかなか難しく駄目にしてしまった。紀州では、ローズマリーは放っておいても大きくなり、花を咲かせてくれる。私にとっては、手のかからない可愛い奴だ。

アロマセラピーの観点から言えば、紀州でイングリッシュ系のラベンダーが夏の湿度に耐えて次の年も花を咲かせたとしても、それは北海道のものとは全く違うものということになるだろう。鎮静作用があって不眠に良いとされる酢酸リナリルやℓ-リナロールは冷涼な高地で栽培されたもののほうに多く含まれているという。同じ真性ラベンダー(Lavandula angustifolia)であっても、温暖な地で咲いた花から蒸留された精油の中には酢酸リナリルやℓ-リナロールはあまり多くは含まれていないだろう。だから、精油を正しく用いるためには、成分表のついた精油でなければならないと言える。
中世ヨーロッパの修道院を中心とした僧院医学の中でハーブは薬草として用いられてきたということだが、それなら薬草と魔女がどうして結びついていったのか、私にはちょっと不思議な気がする。

ところで、花殻摘みを兼ねて、花の終わった後のローズマリーを一枝ずつしごくのだけれど、この時、まるで大きな犬を撫でているような気分になる。そんな時ローズマリーは植物というより動物に近いような気がする。

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