風と、光と・・・

すべての人を照らすまことの光があって、世にきた。(ヨハネによる福音書1:9)

朝の露


朝露や 生まれた愛の行く末は


お前たちの愛は朝の霧 すぐに消えうせる露のようだ。(ホセア書6:4)


振り返ると、すぐ目の前に氷のような眼、蒼白の顔、恐怖で引きつった唇が見えた。深夜ミサの人ごみの中ではじめてそばで彼を見たときと変わっていなかったが、あのときと違って心の震えるような愛情ではなく、底知れない失望を感じた。(ガルシア・マルケス作『コレラの時代の愛』より)


自分の中に愛がないことに気付いたのは、中三の秋だった。
自分から告白して付き合いはじめた人のちょっとした仕草や何かを見るのが急に嫌になったのだ。そんなものは愛でも何でもないと言われるかも知れない。確かにそんなのは愛でも何でもなく、ただちょっと誰かを好きになって、すぐに嫌いになったというだけのことだ。けれど私は、それ以来、ずっとずっと好きでいられる心が欲しいと思い続けた。