風と、光と・・・

すべての人を照らすまことの光があって、世にきた。(ヨハネによる福音書1:9)

野良猫は子捨てをするのか?!

仔猫が死んだ。駐車場の入口の浅い溝の中で。

親の元に帰ろうとして、出入り口を間近にして事切れたのだろう。

仔猫がうちの裏の溝に来たのは土曜日だった。一晩中鳴き声がしていた。溝の中で鳴いているのだろうと思っていたが、非常階段を上り下りする音も聞こえる。明るくなってからカーテンを開けて見ると、胸が真っ白な黒猫が2匹、裏の入口付近にいる。

この子達だ!

この子達は昨年の初冬に生まれて、しばらくの間、うちの溝に来ていた子達だ。

カラスの声が聞こえると、溝の中をたったか走って奥まった場所の雨樋の配管に隠れたりしていた。

その時は、親猫はカラスから仔猫を隠しているのか?と思ったのだった。

この子達は普段人目につく場所には出てこない。そして日曜の朝起きて、私が外に出た時にはもういなくなっていた。鳴き声も止んでいた。生まれた兄弟猫の警護をするために来ていたのではないか?と思った。

 

日曜の夕方、駐輪場の溝の中に仔猫を見つけた。配管の中に隠れていたので、

屋根のある駐輪場から奥には行けないように段ボールで仕切って、配管のある部分に段ボール箱を被せ、さらに塵取りを立て掛けておいた。雨と寒さを防ぐためだ。

翌朝見ると、

こんな事になっていて、

配管の中にはいなかった。

親の元に帰ったとホッとしたのだが、念のためにと帰り道を辿って行くと、溝の出入り口の手前で死んでいた。

去年、仔猫がそこからひょっこり現れて、待っていた親猫と一緒に塀の後ろに入っていくのを二階の窓から見ていたのだ。

寒さで死んだか、ゴミ置き場がすぐ横だからカラスにやられたか?

 

市役所に電話をすると、葬儀社の方が来て遺骸を運んで行って下さった。

けれど、その後、駐車場の入口で、親猫が鳴いている。仔猫を呼んでいるのだ。帰って来るように、と。しかし、返事はない。

私は出て行って、思わず、「溝の中になんて隠すから死んじゃったでしょ!」と言った。

 

夜になって、又、親猫の鳴き声がする。駐車場の入口の百日紅の近くで仔猫が鳴き返すのを待っている。しかし返事がないから、うろうろと探して歩いている。

 

ネットで色々調べていると、野良猫は苛酷な環境にいるから弱い子供や生きられない子は捨てると書いてあったりする。

 

そうだろうか?と思う。猫にもよるだろうが、それは人間も同じだろう。

 

去年の時も、仔猫の鳴き声がすると、親猫はフェンスの向こうから飛び出して来て、溝の入口で待っていた。

 

それで思った。親猫はカラスから仔猫を隠そうとしていると思っていたが、人間の目から隠そうとしていたのではないか?と。

 

去年、うちの溝に仔猫達が来る前、近所の人達が生まれた仔猫を捕獲しようと試みたという話を聞いていた。1匹捕まえたけど逃げられたらしい、と。その後、その仔猫が死んでいるのを見た、と。「野良猫は人間の匂いがついた子供を殺すっていうから・・?」、と。

それで私は、「死んでないんじゃない?今、うちの庭の溝に仔猫達が来てるよ」と言ったのだった。

 

今回は、1匹だけだった。猫は1回に3〜5匹生むと言う。今回は1匹だけなのか?と考えていた。

そうして思った。他の子は捕獲されたのではないか?と。だから親猫は、残った子をうちの溝に隠しに来たのだ、と。

 

人間は、仔猫たちを保護したつもりでいるかもしれない。けれど、猫にしてみれば、生んだ子どもを勝手に連れ去られたということになるだろう。

 

今日も午後から親猫の鳴き声がしていた。姿は確認できなかったが・・。