風と、光と・・・

すべての人を照らすまことの光があって、世にきた。(ヨハネによる福音書1:9)

薬のパラドックスということを思う。

 …。じつは心臓においては、交感神経を介した治療戦略は、すでに限界にきているのではないかと徐々に考えられはじめている。むしろ心機能が低下した慢性心不全患者に対する治療は、心機能をさらに抑制するという方向に向かいはじめているのである。まさに逆転の発想である。

 おそらく読者の多くは「そんなことをしたらますます心臓の機能が悪くなって、取り返しがつかなくなるのではないか」と心配されているだろう。

 そこで、さらに具体的に説明しよう。心機能をさらに抑制する治療には、交感神経の神経伝達物質ノルアドレナリンの受容体(β−レセプター)をブロックまたは遮断するβ−ブロッカーという薬を使用することになる。当然、心機能低下の患者に投与すれば、さらに心機能が悪くなり危険な状態となるおそれがあるので、初めのうちは投与を限りなく少なくし、心機能が危険なレベルにまで低下しないような投与量を見いだしながら、しばらくのあいだ続けることになる。そしてゆっくりと、投与量を半月以上の間隔で徐々に増やしていくのである。

 このような治療の結果を年単位で評価すると、β−ブロッカー投与に対して反応がみられた患者の場合には、心機能が徐々にではあるが明らかに改善しているという事例が多数、報告されているのである。

 こうしてβ−ブロッカーによる慢性心不全に対する効果は肯定的に評価され、現在ではこの治療法の妥当性はほぼ認められたものとなったのである。(柿沼由彦=著『心臓の力』p72~73)

 

このβ遮断剤を、最初の入院では、朝、飲むように処方されていた。退院してからも朝、飲んでいた。すると、朝から頭が働かないということになり、説教の準備も出来ない。そして、薬が切れ始める夜になって、頭が冴えてくるということになる。

それで、夫に、先生に「この薬は夜飲んではいけませんか?」と聞いてみて、と言ったのだった。しかし、若い研修医である主治医の返事は、「薬は夜、飲むものです」だった。

 

しかし、その研修医が去った後の2回目の入院時には、最初から夜に飲む処方に変わっていた。退院の時に、朝に飲むと仕事にならないと話した。それで、退院後も夜に飲む処方となった。

 

確かに、この薬を飲んだことで心機能の値は改善されたのだと思える。

しかし、これを飲み続けるとどうなるか?

そういったところが、医学の盲点となっていると私には思える。

一つの良さげな方法(あるいは薬)が見つかると、それにばかり依存していく。そして一方に傾いていたものが元に戻っても薬を飲み続けるために、今度は逆の方向に傾いていくことになるのである。

 

薬のパラドックスということを思う。

 

カルシウム拮抗薬を処方された時も、疑問に思ったのだった。

うっ血性の心不全なのに、筋肉を収縮させて血液を拍出させるのを阻害する薬を飲んではますますうっ血するのではないか?と。

 

いっ時は良かった、と思えるのだが、最終的な脳内出血はβ遮断剤の継続的服用によって起こったと考えられるし、その後の腸閉塞はカルシウム拮抗薬の投与によって起こったと考えている。

今は、β遮断剤は飲んでいない。

カルシウム拮抗薬は減量して頂き、周3日の投与となっている。

 

実はこのカルシウム拮抗薬は3日に1度の処方にして頂いていたのだが、脳内出血を起こす前は薬の量を徐々に増やしていたのだった。

 

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カルシウム拮抗薬は、拮抗する薬剤の投与によって、カルシウムが細胞内に入る時点で阻止するものと思う。だからカルシウムは摂取された最初の段階から働けなくなる。

上の引用では、「脱灰ではカルシウムとともにリンパ球を中心とする血液成分も体中に放出される」と記されている。中村丁次監修『栄養成分バイブル』には、カルシウムの作用として「白血球の食菌作用を助ける」と記されている。この辺が関連して、カルシウム拮抗薬を飲み続けるとガンになりやすいというところにつながるのではないかと思ったりする。ガンについて良く分かっていないので言い切ることは出来ないのだが・・?

昨年、夫が最初に行った近くの病院で、心不全という診断で貰って来た薬がカルシウム拮抗薬と利尿剤だった。私は、この時の薬の選択は適切だったのではないかと、今になって思っている。利尿剤は亜鉛を排出する薬であり長期にわたって服用するのは良いように思えないのだが、一時的に症状を治めるためには良かったのではないかと思える。同様に、カルシウム拮抗薬も短期的に使用するには良かったのではないかと・・。

その後、大きな病院に入院してから、この2種類に加えてα/β遮断剤が出された。そして、私が「アルドステロン症というのはどうでしょうか?」等と余計なことを言ったためにアンギオテンシン受容体拮抗薬が追加されたのだった。

これら4種類の薬を飲んでいた夫は、退院後、背中を痛めてなかなか治らなかった。血圧も(夫にとっては)下がりすぎていたと考えられる。それで、血流が悪く背中を痛めたと思われた。この大元にあるのがカルシウム拮抗薬だと私は考えたので、11月頃の検診でカルシウム拮抗薬を止めて貰うように頼んだのだった。

 

 

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心筋の収縮力を強めたり心拍数を増加させる交感神経伝達物質ノルアドレナリンであるが、この化学伝達物質はチロシンを原料としてドーパミンから変換される。

13日のブログで、銅欠乏によって起こる病理として心臓肥大があることを書いた。そして、これに関連した銅含有酵素ドーパミンβーハイドロキシラーゼであるという情報を得ていると書いた。このことを書きながら、β遮断剤を飲み続けることによって起こる病理と、銅欠乏によって起こる病理が同じであることに気づいたのだった。否、書く前から思っていて、いいかげん纏めなければと思っていたのだが・・。

 

亜鉛については過剰投与は問題にならないが、銅については過剰症も考慮しなければならない。○○らは、流動食にピュアココア10gを加えて銅の投与量を1日平均0,6mgとすると、ある程度血清銅は維持できるとしている。(日本栄養・食糧学会=監修『亜鉛の機能と健康』より)

 

夫は、一昨年の暮れに福島に行って亜鉛欠乏状態になったところにナイアシンの多い物を食べさせたせいで心不全に陥ったと私は考えていたのだが、亜鉛だけでなく、銅もやられていたと考えられる。

 

 

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今、夫が飲んでいる薬は4種類。

糖尿病薬を飲んでいるとき、「カリウム値が上がってきているのでカリウムを阻害する薬を出しましょうか?」と主治医は言ったという。

こういった若い医者がこんな田舎の総合病院に一時いて、そのうち、都会の大学病院の助教授や教授になって帰って行くのだろう。

世の中のあまりの酷さに打ちのめされそうになる。

 

ほととぎす山を拓きて建つ病院