風と、光と・・・

すべての人を照らすまことの光があって、世にきた。(ヨハネによる福音書1:9)

くしゃみをすると一時的に血圧が下がる

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 自然発症高血圧ラットでは亜鉛欠乏が高血圧を増悪させることが知られている。フリーラジカルのひとつであるスーパーオキシドが血管拡張物質である一酸化窒素(NO)と結合し血圧を上昇させる。亜鉛欠乏状態では活性酸素消去酵素のひとつであるスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)の活性が低下する。
 血圧に関連する一酸化窒素合成酵素やアンギオテンシン変換酵素(ACE)は亜鉛依存酵素であり、重症高血圧では血清亜鉛が低下しACEが低値を示す。(日本栄養・食糧学会=監修『亜鉛の機能と健康』(建帛社)より抜粋)

本来は、一酸化窒素は血管を拡張して血圧を下げる働きをする。四肢の一部を圧迫するなどの刺激によって一酸化窒素が放出され、血管が拡張されて血圧が下がる。血圧を続けて二度測ると二度目は下がると言われるのはこれに因ると考えられる。また、歩く等の運動によって血圧が下がると言われるのも、一酸化窒素の増加に因るのではないだろうか?

ある時、血圧測定中に夫がくしゃみをしたことがあった。それで、「血圧低いかも?」と言ったら、案の定低く出た。それで、「もう一度測ってみて。今度はいつも通り高めに出ると思うから」と言って、測ってもらうと、やはりいつもの高めの数値で、くしゃみの瞬間的な作用が明らかになった気がしたのだった。これ等も、一酸化窒素が放出されたため一時的に血圧が下がったものと考えられる。

しかし、血圧を続けて二度測定しても、二度目の方が高いという場合がある。何なんだろう?と考えていたのだが、上に引用したようなことが起こっているということなのだ、とこの頃になって納得し始めている。

つまり、亜鉛欠乏状態では、本来血管拡張作用を起こし血圧を下げる物質も逆に働くということだ。
一定の血圧を保つためには運動も継続することが大事だと思われるが、それと同時に、有酸素運動をする場合には亜鉛が体内で十分足りていなければ逆効果となるとも言える。
上の引用中に出てくる「アンギオテンシン変換酵素(ACE)」は本来は血圧を上げると思われるが、酵素が造られず血圧が下がりすぎれば体は逆に血圧を上げようと働くため、血圧を一定に保つためには必要だと言える。カルシウムにはカルシウム・パラドックスという言葉があるが、全ての物質の働きにはこういった逆の動きが組み込まれているのではないかと思う。バランスをとることが必要なのだ。