雪の降る夜には
夜のカーテンを引いた庭には
降る、降る、雪が降る
雪の降る夜には
焼きたてのホカホカの
餡この入った粢(しとぎ)を抱きたい
曲り家の囲炉裏で粢が焼けた
焼きたての粢を抱いてわらしは寝る
あやはあっぱを抱いて寝る
おどはおかあを抱いて寝る
じっちゃはばっちゃを抱いて寝る
雪の降る夜には抱いて寝る
頭の白くなった友にも
神経痛がきて眠れないという友にも
リューマチが痛むという津軽のあなたにも
動脈の手術を受けた詩の先生にも
焼きたての粢を抱かせたい
抱きたい、抱きたい、焼きたての粢を抱きたい
昔、津軽では、
焼きたての餅抱いて寝るわらしかな
焼きたての餅抱いて寝るちんまりとまるまって寝る雪の降る夜
だったそうだ。