大砲に花を咲かせよみどりの日
みどりの日 兵器商から花つくりびとに
みどりの日はみどりの日のまま平和の日
明日はみどりの日。
おとうさんはいいひとなのです。そうでしたね。いいひとで、しかも兵器商人なのです。ちょっとかんがえると、むじゅんしているようにみえます。じぶんのこどもをとてもかわいがっているのに、ほかのひとのこどもたちをみなしごにするために、兵器をこしらえているんですからね。でもこういうことは、わたしたちがかんがえているよりも、ずっとたくさん、世の中には見うけられることです。
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「しかしいまとなっては、もうひとつべつのかんがえかたをするひつようがあるようだ。あの子は兵器をつくる仕事などに心をうごかさない、あきらかに。」
「あの子は、うまれつき、園芸にむいているようですわ。」
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「ねぇ、おまえ、わたしは決心したよ。」
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「大砲工場は、花つくりの工場にかえることにしよう。」とおとうさんは宣言しました。
モーリス・ドリュオン作『みどりのゆび』(岩波少年文庫)より
『みどりのゆび』については
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http://plaza.rakuten.co.jp/narrative1gatari/2015