彼はちらりとすばやく彼女を見やると、ひとことも言わず、目を伏せて地面を見つめた、彼らはふたりだけで、だれも見ているものがなかった。看守もそのときは後ろを向いていた。
どうしてそうなったのか、彼は自分でも知らなかった。ただ、ふいに何かが彼をつかんで、彼女の足もとに身を投げさせた。彼は泣きながら、彼女の両膝を抱えた。(岩波文庫『罪と罰 下』p400~401)
私たちは、今は、鏡におぼろに映ったものを見ていますが、その時には、顔と顔とを合わせて見ることになります。私は、今は一部分しか知りませんが、その時には、私が神にはっきり知られているように、はっきり知ることになります。(コリントの信徒への手紙一13:12 聖書協会共同訳)