風と、光と・・・

すべての人を照らすまことの光があって、世にきた。(ヨハネによる福音書1:9)

「El Camino(エル・カミーノ) 僕が歩いた1600km」芳賀言太郎のエッセイ 第5回


「El Camino(エル・カミーノ) 僕が歩いた1600km」第5話アルケミストとの出会い〜モワサックからその先へ〜
 サン・ピエール教会を訪れ、回廊に足を踏み入れる。キリスト教建築における回廊とは、修道院や教会の中庭を囲む屋根のついた廊下のことである。司祭や修道士たちは、この回廊を歩きながら瞑想したのである。そこには2本柱と1本柱が交互に立ち並ぶ116本の繊細でリズミカルな列柱と片流れの木の屋根によって生み出された見事な空間が広がっていた。・・。一言でいうと繊細で女性的な回廊である。以前、訪れた南仏のル・ト ロネ修道院の回廊は柱が分厚く、質実で男性的であるのと対照的である。同じフランスでありながら、装飾を容認するクリュニー派と、一切の装飾を禁じて清貧を旨とするシトー派ではつくりが大きく異なる。
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 現代において錬金術師を名乗る人間などほとんどいないだろう。実際、Jeanは金を錬成しているわけではないし、まして科学者ではない。しかし、彼は錬金術師である。本来、「アルケミスト」たちは単にお金を得るために金を生成しようとしたのではなかった。万物の基本原理を理解し、それによって不完全な物質から完全な物質を造り出し、不完全な人間を完全な人間にしようとしたのである。彼にとっての錬金術とは芸術をつくり出すことである。そして、彼の作品で埋め尽くされた空間は多くの巡礼者の魂を震わせる。創造とは尊い行為である。アルケミストとは何もないところに価値のあるものをつくりだす人間のことであるとするならば、彼は紛れもない現代のアルケミストである。

コラム「僕の愛用品」の5回目は、UNIQLO ユニクロ AIRism エアリズム ¥990 巡礼に際して、ジャケットなどのアウトドア用のウェアを着ることは当然である。しかし、下着を考慮せずに、日常生活で身につけているコットンの下着のままでは準備が出来ているとはいえない。
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 ユニクロの製品は安くて高品質。消費者にとってはこれほど素晴らしいことはない。しかし、こればかりを追い求めるとどこかで破綻が起きる。高品質の服を 低価格で享受できていることについては感謝しつつも、なぜこのクオリティの製品がこれほどまでに低価格で買えるのかということについて意識することも時には必要である。答えは必ずしも一つではないだろうが、商品を買う私たち消費者のリテラシーが求められていると私は思う。


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