痒みが少し治まっているようなので、サンダルウッドは使わずに乳香(オリバナム、フランキンセンス)をホホバ油に垂らしてお風呂上がりに塗るようにさせている。
乳香は老化した肌に新たな活性を与えます。これは、しわをのばして消してしまうという評判があります!(ワンダ・セラー著『アロマテラピーのための84の精油』)
しわというのは真皮層にまで及ぶ皮膚の断裂である。これを消すには真皮にまで精油を浸透させる必要があると思われる。
以下は、キャリアオイルについてまとめたもの。
精油は水には溶けないが油脂には溶ける。
表皮は私達の体の表面にあって外からの物質を中へは通さないと長らく考えられてきたが、今では皮膚は半透膜バリアーであるとされ、天然の植物油は角質層を通過すると言われている。
これらのことから、植物油に溶かした精油を皮膚から体内に浸透させることが可能であると考えられるようになった。精油を体内に運ぶことから、精油を希釈する植物油をキャリア・オイルと呼ぶ。(ベース・オイルと呼ぶ場合もある)
しかし透過に影響を及ぼす要因はいくつかある。
一つには油の粘性があげられる。粘りのあるオイルは浸透しにくい。しかし粘性は温度の上昇によって低下することから、塗布する際に体や掌が温まっている状態であれば、より浸透しやすくなると言える。(中には例外もあって、アボカド油は粘性は高いが浸透性も高い)
又、不飽和脂肪酸の割合が高い油の方がより浸透するようだ。しかし、この場合も例外があって、主に飽和脂肪酸からなる液体ワックスのホホバ油が毛穴から角質層に進入していく様子を示した写真も撮影されている。
今の段階で言えることは、皮膚への浸透力は、いくつかの例外を除いて植物油の分子の重さとサイズによって違ってくるということ。より大きな分子は皮膚のバリアーを通過する見込みが少ないということ。精油の吸収率がキャリアとして使われた植物油の性質によって左右されるということである。
セラピストはこれらのことを踏まえて植物油を使い分ける必要がある。体内に精油を浸透させたい場合にどのオイルを使うのか、又、皮膚表面で精油の効果を発揮させるために基材として何を使うのか。
参考図書:レン・プライス著『キャリアオイル事典』(東京堂出版)
真皮の網状層は、「コラーゲンという太い丈夫な、線維たん白質からなる膠原線維が約90%を占め、他に、弾性繊維(弾力性のある波上の線維たん白質で、エラスチンからなる)などが網状に交錯し、そのすき間は、水分保持力の強いヒアルロン酸などで満たされています。これらが皮膚の強さ・弾力性・潤いを保ち、クッションの役割も果たしています。(堺章『目でみるからだのメカニズム』)
乳香はこの真皮層の線維たん白質に働きかけるのではないかと思われる。
娘には、“ シワ ”というより皮膚を強化する目的で塗らせているが・・。
myrtus77.hatenablog.comこの、母用に作った床ずれクリームを、施設常勤のナースが勝手に他の人に使ったことがあった。使用してから「とても良く効くので他の方にも使わせてもらいました」と報告されたので、プロ意識に欠けたとんでもないナースだと呆れたのだが、このナース、主任看護師であった。材料費を問題にしているのではない。体質によって合わない場合があるということなのである。合わない場合は、使うことで却ってアレルギー反応を引き起こすことになる。
(略)
乳香は、アロマセラピーでは「オリバナム」、「フランキンセンス」とも呼ばれている。
『プロフェッショナルのためのアロマテラピー』の乳香の特性には「抗老化作用」と書かれている。近年、アンチエイジングで顔の“しわ”をのばすために、この乳香がフェイシャルクリーム等に用いられるようになってきた。
“しわ”というのは、皮膚の真皮層の断裂によって出来るという。真皮層の下部である網状層を構成するコラーゲンやエラスチンなどの線維たんぱく質が断裂した状態が“しわ”だということだから、乳香が“しわ”を修復するというのであれば、同じような線維たんぱく質で成り立っている筋肉の修復にも効果を発揮するのではないかと私は思うのだが、どうだろうか?
私はシワとかが出来てもかまわないと思っているので、何も塗らない。