特徴と背景
失調型パーソナリティ障害の特徴は、一言でいえば頭で生きているということである。奇妙でユニークな思考や直感が常に生活や行動に影響を及ぼしている。何も考えていないようだが、頭の中の思考は驚くほど活発で、常に頭の中で対話していたり、自分に向かって語りかけている。それが、独り言や思い出し笑いになって、出てしまうこともある。(略)
そのため、常識的な周囲としばしば摩擦を生じたり、変人扱いされることも多い。
(略)
失調型パーソナリティ障害は、統合失調に近い、あるいは同じ遺伝的素質を持ちながら、環境因子や発病を抑制する他の素因によって、統合失調症を発症していない状態と考えるのが一般的である。したがって、他のパーソナリティ障害と異なり、遺伝的要因の関与が比較的大きいといえる。一般人口の約三パーセントが該当すると言われている。
克服のポイント
スキゾタイパルな人は、日常的な雑務や現実的な問題の処理が苦手である。(略)
(略)そういう意味でも、抽象的なことにばかり関心を持たず、生活を実感できるようなことを趣味に持つことは、バランスをとる上でも有効である。園芸や料理、ペットを飼う、メンタルな要素の強いスポーツもいいだろう。
(略)
家庭を持ち、子育てや家事に積極的に取り組むことも、このタイプの人の浮世離れした傾向を是正してくれる。雑事と思わずに、日常の些事に前向きな気持で関わることが、後年、大きな成果を生むことにつながる。(岡田尊司=著『パーソナリティ障害』)
ほんとうに、日常的な雑務や事務的手続きに追われると死にたくなる(笑)。
にしても、「何も考えていないようだが」って、失礼ね!(笑)。
けれど、幸いなことに私は、若い頃から料理をするのが好きだった。毎日毎日食事の用意をするのは大変な事だが、大方の場合、料理をしていると元気が出てくる。体を動かすということが良いのだろう。
meromeropy77.hatenablog.comキリストは、私たちの平和であり、二つのものを一つにし、ご自分の肉によって敵意という隔ての壁を取り壊し、・・。こうしてキリストは、ご自分において二つのものを一人の新しい人に造り変えて、平和をもたらしてくださいました。(エフェソの信徒への手紙2:14,15 聖書協会共同訳)
『パーソナリティ障害』の失調型パーソナリティのタイプには夏目漱石があげられている。
『坊ちゃん』『こころ』などで知られる文豪、夏目漱石にも、統合失調症を思わせるような病的な体験があったことは有名である。(略)
だが、その一方で、彼は休むこともなく大学の講義をこなし、創作活動を行い、日本文学史に並ぶもののない金字塔を打ち立てたのである。したがって、土居健郎氏らが指摘するように、彼が統合失調症だったとは考えにくく、現在の診断基準では、失調型パーソナリティ障害であったと推測される。
(略)
帰国からちょうど二年後の明治三十八年一月、『吾輩は猫である』が、雑誌『ホトトギス』に掲載された。猫が、少し変人の主人やその友人たちの生活を、皮肉な第三者の眼差しで観察するという形式は、統合失調症的な、関係妄想の世界から脱出し、バランスを取り戻す上で、非常に有効だったのかもしれない。創作や自分を表現することが、発病の危機を乗り越える上で、大きな助けとなる。(岡田尊司=著『パーソナリティ障害』)
以下は、『月刊日本7月号』から山崎行太郎氏の「江藤淳とその時代」より
言うまでもなく、漱石は、「実存主義的人間」でありながら、家族のために生活費を稼がねばならない「旺盛な生活者」でもあった。「旺盛な生活者」であるか、ないかというところが、漱石とアントワーヌ・ロカンタンとの大きな違いであった、ということになる。(山崎行太郎の「江藤淳とその時代」第17回『月刊日本7月号』より)
「だけど、ぼくは、あんまり小さかったから、あの花を愛するってことが、わからなかったんだ」(サン=テグジュペリ『星の王子さま』より)
「重荷であった存在が錘(おもり)となって、その人を支えている」ということがあるのかも知れない