本を売って自殺防止センターの支援に充てるという取り組みを教会でしているので、引っ越し前にそこに出そうと思って、心に留まった言葉をメモっておくことにした。
透は、揺り椅子で本を読みながら時おり三人をながめては、自分も二十歳という若さなのにもかかわらず、娘たちのあふれるような若々しさに喜びを感じた。あのいやな、恐ろしかった戦争の時代が過ぎ去ってほんとうによかったと思った。透は、少女たちが、これからどんどん自由に、このままおおらかに成長していくようにと願ったのだ。
(中略)
けれど、透の父親が買おうとしなければ、ついに取り壊すことになっていたというのを聞くと、やはり手に入れたのはよかったと思う。おもしろく設計されたしっかりした建築物というものは、簡単に取り壊されるべきではないだろう。(高楼方子=作『緑の模様画』(福音館書店)より)
「簡単に取り壊されるべきではない」ー そう思うんだけど、現実はなかなかそうもいかないなぁ、と思う。引っ越し等をしているとつくづくそう思う。捨てなきゃいけないものが多くて、本当に悲しい。