風と、光と・・・

すべての人を照らすまことの光があって、世にきた。(ヨハネによる福音書1:9)

亜鉛含有酵素アミノペプチターゼ


● 大隅良典先生おめでとうございます
心臓の収縮力を維持するためにオートファジーを伴う代謝回転が不可欠であることなどがある。(「京都賞の受賞理由」からの抜粋引用)

森敏先生がブログに掲載してくださった大隅良典氏のオートファジー研究での京都賞受賞理由を拝見していて、夫の心不全の原因に一歩近づくことが出来たと思った。

今年5月末に夫が心不全で入院ということになった時、血糖値も高いと言われた。それで、入院後に色々調べて、ナイアシンの摂りすぎでインスリンが過剰分泌されていながら、亜鉛不足でインスリン受容体が機能しないために血糖が細胞内に取り込まれず高血糖となっているのではないかというところまで突き止めた。亜鉛インスリン合成にも働くようだが、ナイアシンの摂りすぎでインスリン合成の方にばかり使われて、インスリン受容体の方で働けなかったということではないか、と。
そして最近は、病院では腎機能のことを考えてたんぱく質制限がされていたが、たんぱく質が足りていなかったのではないかと考えてたんぱく質を構成するアミノ酸の情報を集めていたのだった。
けれどまだ、私の中では、これらのことが心不全には繫がっていなかった。「一つずつ解決していこう、心不全の原因を探るのはまだ先だ」と思っていた。けれど、上のリンクの文章を見て、「繫がった!」と思った。そうだ!心臓を収縮させるのは心臓の筋肉である。筋肉はタンパク質で出来ているのだ。そして、そのたんぱく質の分解と合成に亜鉛が関わっている。

以下に、川端輝江=編著『しっかり学べる!栄養学』(ナツメ社)より「たんぱく質の消化と吸収」の図を写真で掲載する(この写真は後に削除する)

食物から摂ったたんぱく質は、胃液や膵液中のたんぱく質分解酵素によってアミノ酸が数個結合したオリゴペプチドにまで分解される。オリゴペプチドはさらに、小腸の微絨毛膜に存在するアミノペプチターゼ、カルボキシペプチターゼ等によってアミノ酸に分解され、同時に吸収される。この、アミノペプチターゼやカルボキシペプチターゼが亜鉛含有酵素(『しっかり学べる!栄養学』)である。
亜鉛は、小腸でのオリゴペプチド吸収の際に分解酵素としてたんぱく質の分解に関わっているのである。その後、亜鉛たんぱく質の合成にも関わる。

以下に、『しっかり学べる!栄養学』から亜鉛の働きについて抜粋引用する。

 体内には約2000mgの亜鉛が存在し、おもに骨格筋、骨、皮膚、肝臓、脳、腎臓などに分布している。酵素の安定化や活性化に作用し、亜鉛含有酵素としては、炭酸脱水素酵素、アルカリホスファターゼ、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼなど、200種以上が知られている。細胞質のスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)にも存在し、抗酸化作用に関わっている。また、DNAに結合しやすい亜鉛フィンガーたんぱく質の二次構造形成にも関与している。(川端輝江=編著『しっかり学べる!栄養学』(ナツメ社)より)
たんぱく質の分解というとビタミンB6があげられるが、B6の場合は、たんぱく質がエネルギーとして利用される時のアミノ基転移酵素たんぱく質から神経伝達物質を合成する際の脱炭酸酵素としてのたんぱく質分解作用ではないかと思う(この私の理解は不十分かもしれないが・・)。

つまり、「「お酒に弱い体質」からもう一歩踏み込んで亜鉛とナイアシンについて考える」でも書いたように、夫の体内に亜鉛が十分足りていなかったためにたんぱく質の分解までは働くが合成にまで働くことが出来ず、代謝回転がうまくいっていなかったのではないかと考えた。
『しっかり学べる!栄養学』にはたんぱく質代謝回転の速度は、臓器によってかなり異なる」と記されていて、「肝臓におけるたんぱく質半減期は約12日と短く、一方、筋肉では約180日、骨では約240日である。体全体の半減期は平均で約80日とされている」となっている。半減期とは「全体のたんぱく質量の半分が新しいたんぱく質に置き換わるのに必要な時間のこと」(『しっかり学べる!栄養学』)である。
今年3月から5月頃の夫は、「足に力が入らない」、「出張ででかけて、電車のホームを急いでいるとふらふらしてホームから転げ落ちそうになる」などと言っていた。そして、「(椅子から立ち上がるときに)お尻が痛い。歳をとってお尻の肉が薄くなってきたせいかな?」等と言っていたのだ。これらは全てたんぱく質代謝回転がうまくいっていなかったために、筋肉が新しく作り替えられないまま細っていっていたためだと考えられる。
私は、「『家庭内業務命令で、妻が出張に行くなと言っている』と言って、出かけるのは止めなさい」と言っていたのだが、最終的にどこに言っていけば良いのか分からないところがあって、その辺が長老制という組織の欠点だとも思える。大会に行ったところで一牧師の妻に発言権はないし・・。
今日は、「どうしても行かないわけにいかない」と言って、退院後初めての出張で出かけているのだが、さて、生きて帰って来るかどうか?「そう言えば、この頃は、椅子から立ち上がるときにお尻が痛くない」と言ってはいたが・・。


森敏先生が『「オートファジー」は穀物生産に必須の機能である』という記事を書いてくださった。これが参考になるので、以下にリンクさせて頂く。


● 「オートファジー」は穀物生産に必須の機能である
     この、作物の栄養成長から生殖成長への体制の質的転換のために、農家はいったん水を切ったり(中干し)するショックを与える。そうすると、葉の細胞の「オートファジー(自己消化、自食、貪食とか日本語に訳されている)」が起こるのである。
(中略)
     低分子にまで分解された化合物は師管を通って、イネの種子に運ばれる。これが転流ということである。1950年代にすでにこの栄養成長から生殖成長へのイネの体制の質的変化の指標として、アスパラギン・テストというのが…開発されていた(…)。…アスパラギンを同定して、それが増えていればイネが登熟期に入ったという生化学的な栄養診断法であった。このアスパラギン(やグルタミン)は一分子中に抱える窒素(N)の数が多いので、N源の運び屋としてほかのアミノ酸より有利なのである。このときのN源は主として、葉の葉緑体の中の光合成機能を担う「Rubisco」というたんぱく質である。(抜粋引用)

エネルギー生成におけるTCA回路でも、たんぱく質をエネルギー源とする場合にグルタミンやアスパラギン酸が利用されていた。たんぱく質を摂取するという場合でも、どういったアミノ酸構成になっているかを考える必要があるように思われる。今後、アミノ酸の情報をもう少し集めて食事内容を調整していきたいと思う。

ところで、ずっと以前に、水と蜂蜜と日光浴だけで4年生きているという人を紹介しているテレビ番組を見たことがある。その番組では、様々な検査をして、「どこにも異常はないけれど、今後筋肉が痩せていかないかどうかだけが心配な点だ」というようなことを言っていたのだった。
森敏先生のブログでは、稲の葉のオートファジーを起こすために農家の方達はいったん水を切ったりするということが書かれているのだけど、テレビで紹介されてたこの人も食物を摂らないことでオートファジーを起こして生きていたということではないかと思ったのだった。
クレアチニンについて記されたサイトに、「高齢者では、年齢とともに腎糸球体ろ過率が低下しますが、筋肉量が減少するため、ほぼ一定になるそうです」と書かれていたが、歳と共に食べる量が減って筋肉量が減っても代謝回転がスムーズにいっていれば、仙人のように痩せていても元気に生きていられるということじゃないかと思ったりする。
でも、うちの夫はまだ仙人のようになるには若すぎるから、もう少したんぱく質も摂って、代謝回転をスムーズに行わせる栄養素も摂った方がいいんじゃないかな?それにストレスを感じやすいとそれに対抗するためのホルモンも造らなければならないし・・。いや、意外とホルモンを造らない方がストレスを感じないってことあるのかなぁ〜?