風と、光と・・・

すべての人を照らすまことの光があって、世にきた。(ヨハネによる福音書1:9)

小林リズム=著『どこにでもいる普通の女子大生が新卒入社した会社で地獄を見てたった8日で辞めた話』



 小林リズム=著
『どこにでもいる
 普通の女子大生が
 新卒入社した会社で
 地獄を見て
 たった8日で
 辞めた話』
(リンダブックス)

どうしてこの本を読もうと思ったかと言うと、自分の若い頃を思い出したから。もちろん私はこんな酷い体験はしていないんだけど、就職浪人を2年してその間、岐路に立つ中で私もその都度決断して道を選択して来たからだ。
最初の教員採用試験は神奈川県を受けた。というのは、実技試験がなかったから。ピアノも水泳も絵を描くのも得意でなかったから実技試験のない県を探したのだった。で、一次では受かったのだが、二次の性格テスト?と面接で落ちた。この時は自分の人格が否定されたようで結構めげた。それで家に帰り、アルバイトしながら就職浪人することになった。
最初は、縫製工場の下働きに入った。「小学校教員の採用試験を受けますので、受かるまでの間雇ってください」と言って。ところが、事務の人が辞めたので、2日目から事務員になった。夏まで働いて、頼んでいた病休補充の口が入ったので9月から2ヶ月小学校に行って、その後は喫茶店で2週間、その後又、病休補充の仕事が回ってきたので、翌年の3月末まで働いた。教員採用試験というのは夏にあるのだが、結局浪人一年目の採用試験は受けなかった。
二年目は採用試験を受けるから夏までは働かないことにしたのだが、母から「あんたを養ってるお金はうちにはないよ」と言われて、新聞配達だけすることにした。育休・病休の補充教員の仕事は断ると、試験に受かった後の採用時に不利だと聞かされていてちょっと迷ったが、これも断った。と言って夏までの間、試験勉強をしていたのかというとそうではない。ほとんど、しなかった。では、何をしていたかと言うと、読書なのである。若い頃の私の読書はこの間のものがほとんどと言って良い。今やるべきことは、試験勉強でなく、これだと思っていた。必要な本を読むこと。実際、教員になってからの私は仕事に関係する本以外ほとんど読んでいない。
採用試験が終わってから12月末までは朝の新聞配達と午後からマーケットの雑貨売り場の店員をし、翌年3月までは午後の店員業だけやって、4月から小学校に採用されたのだった。
私は、心のどこかで、何をやっても生きていけると思っているようなところがあるのだが、それはやはりこの頃の経験があるからだと思う。そして、この頃に読んだものは、その後の私の生き方や考え方の土台になっていると思う。

小林リズムさんのこの本の中に出てくる会社というか、会社の代表という人物は本当に酷い(私はこの人物からかつてのオウム真理教麻原彰晃を思い浮かべたほどだった)のだが、都会ではいくらでも居そうな気がする。それだけ今の若い人達は大変な世の中に生きているということだ。自分の頭で考えることが出来なくなる前に辞めて本当に良かった。