風と、光と・・・

すべての人を照らすまことの光があって、世にきた。(ヨハネによる福音書1:9)

十字架のイエスがはっきりと見えた

それまで蓄えた知識も、死に物狂いでかき集めた情報も、役立てることが全く出来ないまま人を死なせてしまったことがある。自分の周りにいる人間を自分は助けることが出来なかった。「人が人を救うことなど出来ない」と言う。けれどそれは渦中に身を置いたことがない者の言う言葉だ。「助けることが出来なかった」ーこの思いは胸に刺さって決して取れることはない。
そうして項垂れていると、十字架のイエスが見えてくる。あぁ、キリストは本当にこの世に来られたのだ、と思う。限界を抱えて愛せずに苦しんでいる私たちのところに、肉体を持って本当に来られたのだ、十字架の上で人々に嘲られながら無力の極みを味わい尽くされたのだ、と思う。
無力感に打ちひしがれるたびに、私はこうしてキリストの十字架の下にうずくまる。そうしてこのイエスに出会うのだ。