風と、光と・・・

すべての人を照らすまことの光があって、世にきた。(ヨハネによる福音書1:9)

ドミニック・ローホー著『シンプルに暮らす』(中経出版)

昔からあった本屋が一軒二軒となくなって、全国チェーンの大きな本屋ができている。でも、そういう本屋はたくさん本があるようで、欲しいと思う本が見当たらない。
ネットで注文して本屋で受け取るというe-honで本を注文して、一軒だけ残っている昔からの本屋へ本を受け取りに行った。専門書を置いてあった二階部分はもう使われてなくて店の規模も縮小されていたのだが、不思議と目に留まる本が並べてあった。その本屋で、この本と出会った。
ドミニック・ローホー著『シンプルに暮らす』

シンプルに暮らすといっても、主に食事の事や料理の事について書いたものだ。食べることに関する古今東西の詩や俳句や格言などが記されていて、なかでも私の好きな山頭火の俳句が載っているところに私は見事にはまってしまった。

飯のうまさが青い青い空 種田山頭火

山頭火のこんな句、知らなかったな。


この本の三章に、「冷蔵庫は3日おきに空にする」という小さい見出しがあって、書いてあることはとても簡単なことなのだけれど、なんだか目から鱗だった。
作り置きしておくというのが実は苦手で、冷凍庫なんかも上手く使いこなせていない。だからいつも新たに作って、作った物をその都度食べきるという形が多い。でも、そうするといつもいつも作っていなくてはならなくて、そして追いつかなくて出来合いのお総菜を買ってくるということにも間間なる。そして毎日毎日買い物に出かけては余計なものまで買う羽目になる。ピクルスなども作っては少しだけ残って冷蔵庫の中で長く居座っていたりする。3日おきとまではいかなくてもせめて一週間で空にするようにできればと思う。
「宗教のならわしを食事に生かす」という見出しのところでは断食についても触れているのだが、断食そのものの事より、「たとえば、日曜のごちそうの残りを月曜に食べ、・・」というような言葉に「ふんふん」と肯いてしまった。
週の初めに何種類かの野菜の料理を作り、それらの料理を4,5日かけて毎食少しずつ戴く。そして一週のうちの何曜日かは全く作らないで残り物を片付ける日にするというのはどうだろう。そうすれば毎回献立を考えることに追われなくても済むんじゃないか、そんなふうに思えた。

最後に気に入った言葉を引用して、

どんなヨガのエクササイズも、また礼拝堂での瞑想も、自分で食べるパンをつくるというシンプルな作業以上に元気を取り戻すことはできないでしょう。
                    ーM.F.K.フィッシャー『食の美学』

でも、この言葉とは逆に、「料理が出来るときは元気な時だ。元気がない時は、なかなか料理はできないでしょうーbyミルトス」とも言えるように思う。