風と、光と・・・

すべての人を照らすまことの光があって、世にきた。(ヨハネによる福音書1:9)

梨木香歩=作『からくりからくさ』

地獄の淵を歩くような苦吟の思いが祝福を深くする。
祝福と怨念が、表裏一枚の織物のように、互いの色を深めている。
そういうことがありうるのだろうか。

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夜はだんだん白み初めていた。東の空は、まるで焼けてしまった紀久の紬のように 様々な色が沸き立っていた。一番底にはあの天蚕紬の真珠のような淡い緑が見え隠れしている。
誰かが−何かが、壮大な機を織り続けている。

『からくりからくさ』梨木香歩=作(新潮文庫)より引用