2012-04-06 梨木香歩=作『からくりからくさ』 本 地獄の淵を歩くような苦吟の思いが祝福を深くする。 祝福と怨念が、表裏一枚の織物のように、互いの色を深めている。 そういうことがありうるのだろうか。・・・・・・・・。夜はだんだん白み初めていた。東の空は、まるで焼けてしまった紀久の紬のように 様々な色が沸き立っていた。一番底にはあの天蚕紬の真珠のような淡い緑が見え隠れしている。 誰かが−何かが、壮大な機を織り続けている。『からくりからくさ』梨木香歩=作(新潮文庫)より引用