風と、光と・・・

すべての人を照らすまことの光があって、世にきた。(ヨハネによる福音書1:9)

アトピーとの闘い〜おこぼれ編(亜鉛不足とタンニンの作用と口腔異常)

私の口の中は依然として良くない。どんな風に良くないかと言えば、渋柿を食べた時のような感じ。渋柿を食べて酷い思いをした記憶はないのだけど、この表現が一番ぴったりくる感じなのだ。私は紅茶なども渋みの強い方を好んでいたんだけど、最近は柿茶でも口の中が酷くなって飲めない。それでしばらく前からタンニンが原因ではないかと思っていたのだった。一昨日、頂いた柿を食べようとして、柿にもタンニンが多かったんじゃなかったかと思い、どうなるか試しに食べてみようと思って食べた。案の定、酷くなった。それで調べて見たらやっぱりタンニンが多かった。それから色々な事が解ってきた。

秋になる頃に亜鉛を増やしていこうと考えて、週に一度だけ牛肉料理を入れることにした。だが、まだその頃は亜鉛を増やしていくのはちょっと恐いと思っていたので、ナイアシンの多い野菜を牛肉料理に合わせようと考えたのだった。ところが食品成分表を見ても、野菜の中でナイアシンの多いのは「よめな」とか「よもぎ」とかで、普段食べるようなものにはあまり含まれていない。それで思い出したのが「まいたけ」だった。まいたけにはナイアシンが多い。以前は、まいたけを牛肉と合わせて良く使っていた。ただ、原発事故の後はそれまで買っていた原木椎茸を菌床椎茸にかえて買うだけで、他のキノコ類は買わないでいた。それを、秋も深まっていくことだしと思って、舞茸を合わせて牛肉の赤ワイン煮を作ることにしたのだった。
最初に作ったのが10月の半ば頃。これが不味かった。レンコンが好きなので、レンコンも入れたのだが、この時はレンコンがどうも駄目な気がした。上手くいかなかったので赤ワイン煮はもう止めようと思ったところに今度は娘が挑戦すると言って翌週に作った。この時はレンコンは入れないで、赤ワインも渋みの少ないものを選んだ。味は美味しかったのだけど、人参なんかがちょっと堅めだったので再度挑戦で翌週も作った。これも味的には美味しかったのだけれど、赤ワイン煮がどうも口の中をおかしくしているように思えたので、さらに挑戦するのは止めて貰うことにした。
レンコンにもタンニンが多い。私はこの頃からどうもタンニンが良くないんじゃないかと思い始めていた。一昨日、柿にタンニンが多いことを調べてから、ポリフェノールやタンニンやカテキンについて調べた。それで、赤ワインにもタンニンが多いことが解った。そして、そういったことを調べていて、タンニンが亜鉛の吸収を阻害することを思い出したのだった。

ポリフェノール『栄養成分バイブルp242』
赤ワインのポリフェノール「原料であるぶどうの種子にタンニン、カテキン、皮にリスベラロール、アントシアニンなど数種類のポリフェノールが含まれている。

タンニン『栄養成分バイブルp274』
ポリフェノールの一種。水溶液は皮膚に強い収れん性を与えるために、渋味として感じられます。高濃度では渋柿のように不快。・・。ほかに殺菌作用も知られています。

カテキン『栄養成分バイブルp246』
緑茶の渋味成分です。・・ポリフェノールの一種・・。カテキンは人の唾液や膵液に含まれる消化酵素のはたらきを抑えます。
つまり、牛肉の赤ワイン煮では赤ワインのタンニンによって亜鉛の吸収が阻害されて牛肉の亜鉛を摂取することが出来ていなかったということになる。

タンニンとカテキンの区別はあまりはっきりしないが、タンニンの中にカテキン類が含まれるように私には思える。そして働きが似ているように思える。

タンニンはタンパク質を変性させる。渋味というのは、タンニンが舌や口腔粘膜のタンパク質を変性させることによって引き起こされる痛みや触覚に近い感覚だという。どうりで口の中の皮膚がシワシワしているような感じなのだ。

以下、川嶋昭司=著『食べ物のメリット・デメリットがまるごとわかる本』(三笠書房より抜粋引用。

柿 :かきの渋にはタンニンが多く、このタンニンには収斂作用があるので、やけどや熱傷治療には有効である。
   タンニンのために口腔や胃腸の粘膜が収縮(収斂)して、・・。
蓮根:れんこんのおろしは下血や喀血に効果がある。これはタンニンの収斂作用による。

収斂作用というと、血管や汗腺を収縮して引き締める作用だと理解していたのだが、Wikipediaに記されているタンニンの項目を読むと、タンパク質を変性させて皮膚や血管を収縮させる作用だと理解できる。

ポリフェノールの効用は2,3時間しか持続しない」と書かれているが、口腔内の違和感は軽くなったり酷くなったりするもののずっと続いている。これはどういうことだろうか。

タンニンはタンパク質を変性させるということだが、亜鉛はタンパク質を合成する。その亜鉛が不足している状態で、タンニンの多い物を摂ると変性させられた口腔粘膜のタンパク質が元に戻らないということではないだろうか。

亜鉛不足の代表的な症状に味覚障害というものがある。これについて、『栄養成分バイブル』より引用する。

味覚障害の原因に亜鉛不足が指摘されています。味を感じとるのは舌にある味蕾という器官です。味蕾は成人で・・。数の減少が・・、年をとるほど味の経験を積んでいるためです。老化によるものではなく、「味を感じない」という味覚障害が若い人にみられます。はっきりしたメカニズムは解明されていません。たぶん、耳下腺から分泌される唾液中に亜鉛を含むタンパク質があり、味蕾のはたらきに影響を与えるためと考えられています。(『栄養成分バイブル』より)
『栄養成分バイブル』は古い出版のものなので、今、これがどこまで正しいかは解らない。けれど、私がここで注目したのは、「唾液中に亜鉛を含むタンパク質があり」それが「耳下腺から分泌され」ているという仮説である。元々の体内の亜鉛が不足していれば唾液中の亜鉛も不足するであろうこと。そして、カテキンの働きに唾液などの消化酵素を抑制する作用があるということ。これらをつなぎ合わせていくと、私の口の中の違和感について説明できるように思えるということなのである。

唾液は炭水化物消化酵素や抗菌作用のあるリゾチーム、免疫抗体のIgAを含み口腔内を潤している。(『目でみるからだのメカニズム』より)

口の中が乾いている感じがするということは口腔内の唾液分泌が抑制されているということではないかと思う。そしてこれを放置していると雑菌が繁殖して口内炎などが出来はじめる。この場合、口内炎が出来るというのは、口腔内が乾燥しているために細菌によって増殖した脂肪分が空気に触れ過酸化脂質に変化するということであると考えられる。ビタミンB2が脂肪代謝に関わる栄養素であることを考えれば、B2が不足すると口内炎が出来易くなるということが解ると思う。それと同時に、抗酸化作用として働く亜鉛サプリメントを飲むと口内炎が治まるというのも、この理屈から考えると納得できることである。
ところが、口内炎が治まっても私の口の中の違和感は治まっていない。これは、亜鉛サプリメント口内炎は治まるものの、体全体に働くための亜鉛がまだ足りていないということだと思われる。

『栄養成分バイブル』には、亜鉛が不足するとかぜをひきやすくなります。からだにウイルスなどの異物が侵入すると、異物を排除しようとする免疫反応がおこります。亜鉛が不足すると、この免疫反応がうまくいかなくなり、かぜをひきやすくなるのです」と書かれている。亜鉛は、免疫反応に関わる胸腺を形成するために必要な栄養素である。娘は今、風邪を引いている。

色々解ってきたので、食事で徐々に亜鉛を増やして元へと戻していきたいと考えている。

参考書籍:堺章『新訂 目でみるからだのメカニズム』(医学書院)
     中村丁次=監修『からだに効く栄養成分バイブル』(主婦と生活社
     川嶋昭司=著『食べ物のメリット・デメリットがまるごとわかる本』(三笠書房