風と、光と・・・

すべての人を照らすまことの光があって、世にきた。(ヨハネによる福音書1:9)

ロバート・フロスト=詩『星にまなぶもの』から


● “彼は現役の大統領でありながら、明らかにアメリ力の知的少数派に属している”『詩人フロストとオバマ大統領』川本皓嗣 2014年 09月号 岩波書店 
〜昔書いた本の紹介文から〜

 今回は、キャサリン・パターソンの本を紹介したいと思います。
 パターソンは1932年にアメリカ人宣教師の娘として中国で生まれますが、第二次世界大戦のためにアメリカに帰ります。又、その後1957年から4年間、宣教師の夫とともに日本でも暮していたようです。
 パターソンの物語では、逆境の中でも静かな輝きを放って生きる少年少女達が描かれます。『かぼちゃ畑の女王さま』のリュープ。『星をまく人』のエンジェル。北極星を目ざして』のジップ。

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 北極星を目ざして』は19世紀のアメリカの奴隷問題を背景にして描かれた物語です。
 ジップは3歳の頃、荷馬車のうしろから落とされ救貧農場へと連れてこられます。その8年後、“あばれモン”と呼ばれる精神を病む男がそこに連れてこられます。この“あばれモン”と呼ばれるパットという男は実在の人物をモデルにして描かれたのだそうです。パットは頭がはっきりしている時はいつも同じ賛美歌を歌います。

♪ 泣くな友よ 友よ泣くな。
  すべてよし、すべてよし!
  わが罪 ゆるされ 自由になれる。
  すべてよし、すべてよし!
  たちのぼる 雲はなし
  キリストかくす 雲はなし
  われ じきに 天にのぼる。
  すべてよし、すべてよし!  ♪

 そんなパットの世話をしながら、いつしかジップは父親のようにパットを慕いはじめます。けれど最後、パットはジップを守るために奴隷商人の前に立ちはだかり、ピストルで撃たれて死ぬのです。
 パターソンの物語を読んでいると、神に似せて創られたという人間の、罪に堕ちる前の魂の気高さが私達にも残存しているのではないかと思わされます。

 『星をまく人』の中で、年老いた図書館員のリザさんがロバート・フロストの『星に学ぶもの』という詩をエンジェルに読み聞かせる場面が描かれています。この詩から聖書の御言葉を思い浮かべます。「すべてのことを、つぶやかず疑わないでしなさい。それは、あなたがたが責められるところのない純真な者となり、曲がった邪悪な時代のただ中にあって、傷のない神の子となるためである。あなたがたは、いのちの言葉を堅く持って、彼らの間で星のようにこの世に輝いている」(フィリピ人への手紙2:14~15)

 若い人達が、どんな逆境の中にあっても自分を大切にして生きていけるようにと願わずにおれません。そして、そう願う時、パターソンの書いた物語が私の頭に一番に浮かんでくるのです。
『かぼちゃ畑の女王さま』(偕成社
北極星を目ざして』(偕成社
『星をまく人』(ポプラ社
テラビシアにかける橋』(偕成社