閉ざさるる雪の回廊ゆく子ども
雪祭りの頃に引っ越し先の下見を兼ねて札幌に行った。
うちの娘の転校によってクラスが一クラス増えるかも知れないということで、「春に転校してきますのでよろしくお願いします」と学校へも挨拶に行った。知人の車に乗せて貰って行き、帰りは自分達だけで雪の中を歩いて引っ越す予定の教会へ行くことに。いざ外に出ると、車道と歩道の間に雪の壁がそびえている。自分達家族の前後には子どもが一人きり。雪が降って、曇り空で、暗い日だった。いったい今どこを歩いているのか分からない、無事に目的地にたどり着くのだろうか、そんな感じだった。
北海道におられる俳句日記の芙美さんが、この、冬の北海道の道のことを「雪の回廊」のようだと言っておられたので、使わせていただいて、十数年前の情景を一句にしてみた。今年の冬は又、凄そうだなぁ。
札幌というと、歩いて行ける所に音楽ホールがあって気楽にコンサートに行けたのが良かった。
マイスキーによる
セロ響く雪の降り頻く音楽堂
身中に伝ふセロの音 外(と)は吹雪
マーラー・シンフォニー№3
弦震い這い上がり来る 地、吹雪く
弦楽器の振動が足下から這い上ってくるような感覚はCDで聞いても得られない。やっぱり生演奏でないと、と思う。
でも、今では、
ギャラリーも音楽堂(ホール)もなくて海長閑
ギャラリーの無き町に住み日向ぼこ
そう言えば、長閑(のどか)は春の季語だった。でも、もうすぐ立春。こちらは、春のようなものだ。