風と、光と・・・

すべての人を照らすまことの光があって、世にきた。(ヨハネによる福音書1:9)

芳賀言太郎のエッセイ 特別編 〜北北東に進路を取れ! 東京 ― 岩手540kmの旅〜 第4話

芳賀言太郎のエッセイ 特別編 〜北北東に進路を取れ! 東京 ― 岩手540kmの旅〜

第4話 大槌新山高原ヒルクライム 〜復興としての自転車レースの可能性〜

5月22日(日)  大槌

 岩手県大槌町東日本大震災津波で甚大な被害を受けた町の一つである。…。…が、住宅再建を希望する世帯は区画数の4分の1程度と、復興計画は必ずしも予定通りには進んでいない。
 そのような中で、この大槌新山高原ヒルクライムは、東日本大震災からの復興と再生を目指した三陸初のヒルクライムイベントとして開催された。(略)
 自転車を通しての復興としては、…が、ツーリズムとしての自転車の持つ可能性はまだまだあるように思う。…。徒歩では辿り着けない場所、自動車では見過ごしてしまう風景も自転車は見せてくれる。…。バスや電車では点と点でしかない町と町を線でつなぐことや、…ことを自転車はもたらしてくれるように思う。いわゆる観光の先にあるものを自転車は提示できるのではないか。まさに「ツール」(=ツアー)と して、その土地をまるごと身体で味わうことができる自転車には大きな可能性があるように思う。
 実際、世界最大の自転車レースである「ツール・ド・フランス」は、その美しいレース映像そのものがフランス旅行のコマーシャルフィルムであり、その広告効果は絶大である。(略)「ツール・ド・東北」やツール・ド・三陸」といった自転車のコンテンツは、東北の復興を進める上で回復と再生のイメージをつくるため の一つの方法でもあるように思う。

(中略)

 勾配のきつい坂を約一時間かけて登り、なんとかゴールにたどり着いた。…。なぜ自転車なのか、な ぜヒルクライムなのか。それは人間が自転車に乗り、自分の力によって困難を乗り越えることができるということが大きな意味を持つことになるからではないか と考えた。
 ヒルクライムは上りよりも下りに注意する必要がある。出そうと思えば80キロ以上ものスピードを出せるロードバイクでカーブを下るのは危険なため、順番に隊列をつくって下るのである。もちろん追い越しは禁止である。参加者全員がゴール地点から無事に下り、スタート地点まで戻ってくると、受付場所であった体育館で表彰式が行われた。

(中略)

 私のこの東北への旅は、ヒルクライムレースのスタート地点に立つことがゴールだったように思う。…。(抜粋引用)

(写真等略しています。直接リンク先でご覧ください。)


コラム 僕の愛用品 〜自転車編〜
第4回 シューズ fizik  R4B UOMO  24,800円

 どんな時においても靴は大切である。特にスポーツをする際には足の力を無駄なくダイレクトに地面に伝えるため、それぞれのスポーツに対応した専用のシューズが存在する。
 ロードバイクの場合もそうしたシューズが存在する。(中略)ただ、ビンディングはペダルとシューズを一体化してしまうので慣れないうちは恐怖感がある。うまくクリートを外すことができず、立ちゴケと呼ばれる転び方をすることがあるので、その時には絶対に車道側に倒れないようにする注意―倒れる経験なしに自転車に乗ることができないように、どんなに立ちゴケに注意しても一度や二度は必ずすることになる―が必要である(私は2回ほど経験した)。
 fizikはイタリアのメーカーであり、高い機能性とデザイン性を兼ね備えたアイテムを展開する。…。
 自転車に乗っている際に、自転車と体が一体になっていると感じる時がある。その感覚はビンディングによって高められると思っている。自分の踏み込んだ力がダイレクトに自転車を前に進める感覚は爽快である。ただ、現状は自転車が体の一部になっているというよりも、体の方が自転車の一部品にされているレベルのような気がする。立ちゴケをするということはそういうことだ。いつか思いのままに自転車で走れるようになりたいと思う。(抜粋引用)