大時計13時うつ真夜中にー『トムは真夜中の庭で』より

● 読書会報告『トムは真夜中の庭で』ツイート 大人のための子どもの本の読書会

大時計13時うつ真夜中にわたしの庭においでなさい
ここのつの少女があなたを待っているさよなら言えず引っ越してった
友だちになってください時を超え80歳のおばあさんだけど
誰も皆こころの中に持っている 君よ少女を抱けよ永久に

その二度目の別れのようすを、あとになってグヴェンおばさんは夫のアランにこうつたえた。
「トムが駆けあがっていくとね、ふたりはしっかりと抱き合ったの。まるで、もう何年もまえからの友だちみたいで、けさ知りあったばかりだなんて、とても思えなかったわ。・・、あのバーソロミュー夫人は、トムより心もち大きいか大きくないかっていうぐらいに小さくちぢんでしまったおばあさんですけどね・・トムは、相手がまるで小さな女の子みたいに、両腕をおばあさんの背なかにまわして抱きしめていたのよ」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　フィリッパ・ピアス＝作『トムは真夜中の庭で』（岩波少年少女文庫）より

ピアスは「私たちはみんな、じぶんのなかに子どもをもっているのだ」と言っているそうだ。
トムがこの時抱きしめたのは、ユング心理学で言われている自分の中のアニマだったのではないか、と私は思ったのだった。